9月の国内粗鋼生産、前年比19%減 マイナス幅は縮小
日本鉄鋼連盟(鉄連)は22日、9月の国内粗鋼生産量が前年同月比19.3%減の648万6千トンだったと発表した。7カ月連続の前年割れだが、マイナス幅は前月よりも1.3ポイント縮小した。新型コロナウイルスの影響で休止していた高炉が9月以降に再稼働しており、鉄連は「鋼材需要は回復しており、稼働率の向上に伴い生産量はさらに持ち直す」とみている。

国内生産活動の回復で鋼材需要は戻りつつある。9月中旬にはJFEスチールが一時休止していた西日本製鉄所の福山地区(広島県福山市)で高炉1基を再稼働した。
製造業全体をみると、自動車メーカーの需要回復が鮮明だ。トヨタ自動車は国内工場を9月からフル生産に戻している。家電メーカーからの引き合いも強まっており、製鉄所の稼働率がさらに高まるとの見方は強い。
日本製鉄は10月上旬に一時休止していた高炉の再稼働を発表した。11月下旬をめどに、東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)の高炉1基を再稼働する。さらには改修工事のため7月から稼働を止めていた室蘭製鉄所(北海道室蘭市)の高炉1基も、11月下旬をめどに動かす計画だ。
再稼働を決めた高炉は増えてきたが「すぐにはフル生産にはならないため、需要回復が統計に反映されるのはまだ先になる」(鉄連)という。
4~9月でみた場合の国内粗鋼生産量は前年同期比26.8%減の3709万5千トンだった。リーマン・ショック後の需要急減の影響を受け、09年4~9月の4332万9千トンを下回り、歴史的な低水準となっている。
(湯前宗太郎)