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タイ、集会禁止を解除 王室改革巡り対立激化も

【バンコク=村松洋兵】タイ政府は22日、首都バンコクを対象に出した非常事態宣言に基づく集会禁止措置を解除した。学生を中心とする反体制デモ隊に譲歩し、要求の一部を受け入れた。王室や国軍を支持する保守派の集会も認められるため、反体制派との対立激化が懸念される。

反体制派に対抗してデモ会場に集まった王室支持の保守派(21日、バンコク)=ロイター

政府は15日にバンコクに非常事態宣言を出し、「5人以上の集会」や「国家の安全を脅かす情報の流布」を禁じた。治安当局は同宣言への違反を理由に21日までに50人超を逮捕した。16日には放水車を使ってデモ隊を強制排除している。

反体制派は政府の強硬姿勢に反発し、宣言を無視して集会を続けてきた。バンコクでは連日、複数の場所で計2万人規模が参加するデモが起きている。プラユット首相は21日にテレビ演説で「宣言を解除する準備がある」と述べ、譲歩する姿勢を見せていた。

反体制派はプラユット氏の演説後も態度を軟化させず、同日夜に3日以内に首相を辞任するよう要求した。政府は26、27の両日に臨時で国会を開いてデモへの対応策を協議する予定で、プラユット氏が期限までに辞任する可能性は低いとの見方がある。反体制派は要求が拒まれれば、デモをさらに活発にする構えだ。

集会禁止措置の解除により、反体制派と保守派の衝突も懸念される。既に21日に双方が同じ場所で集会を開き、小競り合いが起きている。保守派は、反体制派が政権退陣にとどまらず、国王の権限縮小など王室改革を要求していることに不満を持っている。王室は絶対的な存在で、批判はタブーとされてきた。

王室を強く信奉するグループは22日もバンコクで集会を開いた。国王のシンボルカラーである黄色のシャツを着て、王室をたたえる歌を斉唱した。同グループには国軍や政府が関係者を動員しているとされる。

2000~10年代の政治対立では、国軍や官僚、都市部を中心とする保守派の「黄シャツ」と、農村部が拠点のタクシン元首相派の「赤シャツ」が争った。14年には双方がデモを繰り返し、陸軍司令官だったプラユット氏が軍事クーデターを起こす引き金となった。

今回の若者を中心とする反体制デモ隊は黒シャツで統一しており、赤シャツの姿は目立っていない。対立の構図が「黄VS赤」から「黄VS黒」に変わった格好だ。王室支持グループを率いるワロン元下院議員は22日、「反体制派は革命の計画を持っている。黄シャツを着て街に出て王室を守ろう」と呼び掛けた。

「黄VS赤」の対立ではバンコク中心部の交差点や空港が占拠される事態が度々起こり、都市機能がマヒした。今回も反体制派と保守派の対立が深まれば、経済に悪影響が出る可能性がある。

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