年初から資産倍増の3人が語る「中小型株の勝ち方」
スゴ腕個人投資家が明かす年後半の必勝戦略

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2020/10/23 2:00
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コロナショック後の相場上昇に乗って資産を大きく増やした個人投資家には、時価総額が小さく値動きが軽い中小型株への投資を手掛ける人が少なくない。株式投資で年初から資産をほぼ倍増させた個人投資家3人に、年後半の中小型株投資の戦略や狙い目を語り合ってもらった。

今年、中小型株投資で資産をほぼ倍増させたスゴ腕が集結。左から、べるさん(30代・会社員・ハンドルネーム)、井村俊哉さん(30代・会社経営)、AHOさん(40代・会社員・ハンドルネーム)

今年、中小型株投資で資産をほぼ倍増させたスゴ腕が集結。左から、べるさん(30代・会社員・ハンドルネーム)、井村俊哉さん(30代・会社経営)、AHOさん(40代・会社員・ハンドルネーム)

――皆さん中小型株をメインに取引されていますが、基本的な運用スタイルを教えてください。

べるさん(以下敬称略) 僕は、基本は3カ月程度のスイングトレードです。企業価値が変わるような適時開示を出した銘柄を持ちます。

井村さん(以下敬称略) はやりの株を乗り換えていくスタイルだ。

べる 動いていれば何でもいいわけじゃなくて、その企業が本当に変わるような事象が発生しているかどうかを重視します。例えば、「デジタル庁創設」は、幾つかの企業にとって本当に変わる可能性がある重要テーマ。でも、「新婚生活に60万円補助」なんていうのはスルーです。結婚関連銘柄がにぎわってますけど。

井村 いい例を出しましたね(笑)。数字が残りそうなメガトレンドを追うわけですね。

べる 新型コロナの感染拡大以降、スーパーやホームセンターの株が軒並み上がってますけど、すごく懐疑的。来年も続くのかなって。逆に、ECはいいと思う。だって、うちのおやじが何でもネットで買うようになりましたから。シニア世代でも、最初の1回を乗り越えちゃえば、すごい勢いでECを使うようになる。この前、ネットで魚を買っていてびっくりしました(笑)。

――AHOさんの運用スタイルは。

AHOさん(以下敬称略) 私は金融機関に勤めていたのですが、転職を機に個人投資家デビューしました。初めは「ネットネット株」のようなキャッシュリッチ系のバリュー株を買っていたんですけど、MonotaROを早売りしてしまったのをきっかけに、中小型成長株の魅力に目覚めました。こんなに面白い世界があるんだって。今は、スイングトレードやオプション取引など、いろんな手法に挑戦しています。

井村 AHOさんは元が堅実な職業とは思えないぐらい資産の変動がすごいんですけどね(笑)。

AHO 昨年の2億8000万円をピークに、コロナショックで3000万円ぐらいまで減って、今は2億円に回復しました。信用取引で3倍のフルレバレッジをかけていますから。2割の損を食らったら資産が6割減る。ただそれだけです。

べる AHOさんの実力なら信用やらなくても勝てるでしょう?

AHO バリュー投資だけでも勝ち続けられると思うんですが、投資家として二刀流、三刀流が実現できるなら追いたい。だって、投資家はスポーツ選手と違って100歳まで現役でいられる。あと数十年かけて自分が投資の世界でどこまで高みに行けるか。それが、自分の根本的な熱なんです。だから色々チャレンジしています。

井村 いろんな刀の振り方を研究している過程の傷だから、損をしても痛くはないと。

AHO いや、資産が10分の1になると痛いですよ。すごく……。

井村 僕は割安だと思う成長株に集中投資するっていうスタイルを変わらず続けています。変わったのは、ユーチューバーになって持ち株を言えなくなったことぐらいですね(笑)。

――皆さんはコロナショックをどう乗り越えたのでしょうか。

べる 僕は基本的に、「指数売り・現物買い」のロング・ショートのポジションを組んでいます。だから、持ち株が下がっても指数より下がらなければトータルで利益が出る。指数に勝つ株はどれか、という視点で銘柄を選びます。

井村 ヘッジファンドみたいだ。

べる 2月頃から「コロナが深刻化するかもしれない」と思い始めた。それで、指数に勝つのは何かと考えた結果、「無借金」の銘柄にシフトしました。

井村 割安かどうかじゃなくて、平均よりもお金が逃避してきそうなところを買う発想ですね。

べる 無借金にシフトして、3月に年初比でプラスになったんですけど、そこからコロナの勝ち組にはシフトできなかった。二番底を警戒してしまったんです。だから、資産が2倍ぐらいにはなりましたけど、この相場ならもっと取れたなっていう反省の方が大きい。

AHO 私は年初からDX(デジタルトランスフォーメーション)がいいと思って、幾つか買っていたんですけど、下げが続く過程でどんどん絞り込んで、最終的にはピー・ビーシステムズ1銘柄に集中しました。

いつまで下げが続くか分からないけど、異常な下げであることは間違いない。必ず反発局面が来るから、一番自信がある銘柄に集中して耐えようと考えたんです。

井村 確信がある銘柄でないと握っていられない相場でしたからね。

AHO よりどころの一つとなったのは、ピー・ビーが19~21年度で3年連続増収増益になると思えたこと。リーマン・ショックの時も、年間で株価がプラスだった銘柄は、その年に増益を維持した銘柄が多かったんです。今回はプットの売りで捕まってしまったこともあってかなり冷や冷やしましたが(笑)、4月以降はうまくリバウンドが取れました。

井村 僕はもともとクラウド系にフルベットしていたんですけど、コロナで追い風になりそうなEC支援系の銘柄にシフトして乗り切りました。その時買ったのはテモナです。2.5倍ぐらいになったところで全部売り切りました。

■相場の勝ち方が変わった

――では、ここからの狙い目は。

べる 僕は全く分かりません(笑)。実際、今が一番分かりにくい時期に来ていると思うんですよ。コロナで世の中が一度止まって、すぐに戻る部分が戻って。ここからどうなるのか。

注目しているのは、7~9月の決算の販管費ですね。ここを分析すると、これからお金が流れる先が見えてきて、物色される銘柄も決まると思います。

井村 僕は基本的に相場観は持たない考えなんですけど、今は「頑張らない方がいい局面」に来ていると思っている。いい銘柄は明らかに高過ぎる。

例えば、クラウド系の銘柄はPSR(株価売上高倍率)でバリュエーションを見るのが一般的。昨年まで10倍が上限っていわれてましたけど、今は中央値で15倍を超えている。売り上げも伸びているけど、株価はもっと上がっている。16年の頭はPSRが3倍台になる場面もあった。ここから株価が半値になっても不思議はないです。

べる ナスダックなんてめちゃくちゃですよね。テスラが1日に10%ぐらい上がって次の日10%ぐらい下がるとか。完全にバグってます。

井村 バグっていう感覚、分かります。低金利がバグを生んでいる。

べる 一つ言えるのは、先行指標であるナスダックを見ていて、ボラティリティーが高まったらレバレッジを下げるなりして資産を守った方がいい。「10%も下がったから押し目だ」って飛び付いたら、そのまま下に持っていかれる可能性がある。

AHO ボラティリティーが落ち着いて、上か下にトレンドが出てから付いていくのがいいでしょうね。

――中小型株投資で勝つ秘訣は。

べる 一つは、資金管理だと思います。資産を大きく増やした人は、100%資金管理がうまいです。

井村 相場に居続けた方が儲かるから、資金管理を学んだ方がいいと。

べる それと、最近、特に感じるのは、勝ち方が変わっているんじゃないかっていうこと。情報の織り込みがものすごく速くなった。コロナ相場なんて典型で、一気に最悪の水準が織り込まれて、その後、一気に回復が織り込まれた。

AHO マクロの指標や決算が出てからだと動きに付いていけないですね。

べる だから、新しい相場に付いていける人とそうでない人で、パフォーマンスが二極化しているんです。ツイッターなんかを見ていると、20~30代の若手で、資産はまだ少ないけど、ものすごくうまい人が増えている。逆にアベノミクス相場で稼いだ人は、今年の中小型株の大相場に乗れていない人も多い。

僕はコロナ前後で社会が変わったと思っている。ならば、銘柄の評価軸をゼロベースで変えるような勇気が必要。例えば、コロナ前後で保有銘柄の顔ぶれが全く変わっていないならどうかと思う。

AHO 成功体験がある人ほど、自分のスタイルを変えにくいかもしれない。それに、年齢も大きいと思います。シニアになると融通が利かなくなるから(笑)。

私は40代ですけど、良かったと思えるのは、この年になって自分にビッグチェンジを起こせたこと。5年前の自分なら、こんな風に売買することはなかった。投資の引き出しが増やせたことがうれしい。

井村 環境の変化にバタバタせず、メガトレンドの成長企業を持ち続けるのも一つの考えなので、この瞬間の成績だけで勝ち負けを判断することはできないと思います。ただ、変化の激しい中小型株で勝つためには引き出しを増やす努力をした方がいいでしょうね。AHOさんのやり方はまねしない方がいいと思いますけど(笑)。

(市田憲司)

[日経マネー2020年12月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年12月号 秋相場は大化け期待の中小型株を狙え! 最強の成長株

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2020/10/21)
価格 : 750円(税込み)

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