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世界の航空大手、巨額赤字に 需要の低迷続く

ANA今期最終赤字5000億円 機材1割削減

保有機材を削減しコスト圧縮を急ぐ

世界の主要航空会社の業績悪化が止まらない。ANAホールディングス(HD)は2021年3月期通期に過去最大の最終赤字となる見通し。米デルタ航空や米ユナイテッド航空が発表した20年7~9月期の最終赤字も数千億円規模だった。ANAHDは国際線を中心に航空需要の低迷が長引くとの見方から、傘下の全日本空輸(ANA)の使用機材を約1割減らす方針を固めた。

ANAが使う旅客機は約260機で、このうち25~30機程度を削減する。航空機は使用しなくても定期的な整備などの費用が発生する。ANAHDは退役を通常より早めたり、発注した航空機の受領時期も遅らせたりするなどして保有機の数を減らしコストの圧縮を急ぐ。

ANAHDの21年3月期の連結最終損益は5000億円前後の赤字(前期は276億円の黒字)となりそうだ。赤字額は03年に連結決算に移行してから過去最大。航空需要の回復に時間がかかると判断し、大型機材や経年機を中心に減損損失を計上する見通しだ。仮に国際線の利用が戻った場合は旅客が多い羽田空港の発着便から優先的に再開するなどし、運航の効率化を進める考えだ。

業績悪化はANAHDにとどまらない。20年7~9月期決算を発表したデルタ航空とユナイテッド航空の最終赤字はそれぞれ53億ドル(約5559億円)、18億ドルだった。ユナイテッド航空の最終赤字額は4~6月期に比べて2億ドル悪化した。

日本航空(JAL)も4~6月期の連結最終損益(国際会計基準)は937億円の赤字(前年同期は129億円黒字)と厳しい。

日本の国内線は、政府の観光支援策「Go To トラベル」で需要が回復傾向にある。ANAは5月後半、事業計画の8割以上のフライトを取りやめた。11月は同29%の削減にとどまる見通しだ。日系航空会社の関係者は「年末年始はコロナ前に需要が戻りそう」と期待を寄せる。

問題は国際線だ。各国の入国制限が続き、本格的な再開には至っていない。日系航空会社の幹部は「欧州で感染が再拡大しているのはマイナス材料」と厳しい表情で話す。

国際航空運送協会(IATA)は9月末、20年の世界の航空需要が前年に比べ66%減少する見通しと発表し、従来予測より下方修正した。ANAは11月、国際線について事業計画の86%のフライトを取りやめる方針だ。

JPモルガン証券の姫野良太アナリストは「ワクチン開発の遅れなどもあり、国際線を中心に需要低迷が長期化しそう」と指摘する。IATAは国際線の需要が19年の水準に回復するのは24年と予想する。

長期の需要低迷で懸念されるのが財務の悪化で、政府支援も動き出した。独ルフトハンザは独政府から90億ユーロ(約1兆1160億円)の支援を受けることが既に決まっている。

シンガポール航空は筆頭株主の政府系投資会社などから最大150億シンガポールドルの資金調達を見込む。仏蘭航空大手エールフランスKLMの子会社のKLMオランダ航空はオランダ政府の支援で34億ユーロを借り入れる。

一方で日本は航空会社が空港に支払う使用料の一部、55億円の減額にとどまる。世界の政府支援に比べると、金額はわずかだ。赤字額を抑えるため、人件費などの固定費を削減する動きも加速している。アメリカン航空とユナイテッド航空は10月から、2社合計で3万2000人超の従業員を無給の休暇扱いとする人員削減を始めた。

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