20年度の実質成長率はマイナス6.3%、21年度は4.1%成長 NEEDS予測
消費・投資の回復鈍く、勢い欠く景気

2020/10/21 13:18
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日本経済新聞社の総合経済データバンク「NEEDS」の日本経済モデルに、2020年10月20日までに公表された各種経済指標の情報を織り込んだ予測によると、20年度の実質成長率はマイナス6.3%、21年度は4.1%の見通しになった。

20年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は前期比3.5%増(年率換算で14.9%増)と4四半期ぶりのプラス成長に転じる見込みだ。設備投資は2四半期連続の前期比マイナスとなるが、民間最終消費支出(個人消費)と輸出が前期の大幅減から反発する。

10~12月期は輸出や個人消費の増加が続くうえ、設備投資も下げ止まり、プラス成長を維持しそうだ。しかし、その後は雇用・所得環境の悪化の影響が個人消費に表れる。設備投資も企業収益の悪化で20年度内は力強さに欠けた動きとなる。

■個人消費に雇用・所得環境悪化の影

個人消費は4~6月期の大幅な落ち込みからは回復しつつある。日銀公表の8月の実質消費活動指数(旅行収支調整済み)は、前月比0.8%上昇と2カ月ぶりにプラスとなった。ただ、外食や旅行などサービスの指数は新型コロナ感染の再拡大への警戒から3カ月ぶりに低下するなど、回復ペースは緩やかだ。

一方、雇用・所得環境はじわじわと悪化している。総務省公表の8月の完全失業率(季節調整値)は3年3カ月ぶりに3%台に上昇した。また、厚生労働省公表の8月の毎月勤労統計では、現金給与総額(調査産業計、5人以上、共通事業所ベース、速報)は前年同月比1.7%減と5カ月連続の前年割れとなった。企業業績の悪化で今冬のボーナスは減少する公算が大きく、所得は減少が続くとみている。

個人消費は10~12月期も前期比プラスが続くが、雇用・所得環境の悪化を背景に21年1~3月期には一時的にマイナスに転じるなど一進一退の動きとなりそうだ。20年度の消費は前年度比7.2%減、21年度は同3.6%増になるとみている。

■当面は設備投資を控える動きが続く

設備投資は当面、弱い動きが続きそうだ。日銀公表の9月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、20年度の設備投資計画(全規模全産業、ソフトウエア・研究開発を含み土地を除く)は前年度比0.9%減となった。6月の前回調査(同0.9%増)から1.8ポイントの下方修正だった。

経済産業省公表の8月の国内向け資本財出荷(除く輸送機械、季調値)は前月比11.3%低下と2カ月連続で落ち込んだ。内閣府の機械受注統計では、設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需(季調値)」が7月は前月比6.3%増加したが、8月は同0.2%増とほぼ横ばいにとどまった。

法人企業統計ベースの経常利益は20年度中、前年同期比でマイナスが続く公算が大きく、20年度は前年度比32.6%減となる見通しだ。しかし、海外経済や国内需要が回復する21年度は同31.5%増と大幅な増益に転じるとみている。20年度のGDPベースの設備投資は実質値で前年度比6.0%減に落ち込むものの、21年度は企業業績の回復に従って同4.6%増に回復する見通しだ。

■輸出は10~12月期以降も増加基調保つ

海外経済は4~6月期を底に順調に回復を続けると予測している。特に中国では新型コロナの感染者数が抑制されており、経済はいち早く回復に転じている。中国国家統計局が発表した7~9月期の実質成長率は、前年同期比4.9%増と2四半期連続のプラス成長で、4~6月期(同3.2%増)よりも伸びは高まった。米国や欧州連合(EU)では新型コロナの感染拡大が懸念されるが、7~9月期の成長率は4~6月期に落ち込んだ反動増で大幅なプラス成長となる見通しだ。

海外経済の回復を背景に、日本の輸出は増加基調が続く。日銀算出の実質輸出(季節調整値)は7~9月期に前期比13.3%増と大幅な増加となった。サービス輸出も含めた7~9月期のGDPベースの輸出は同8.7%増となる見込みだ。米国や中国など主要相手国がこの先もプラス成長を維持することから、輸出は10~12月期以降も増加基調を保つとみている。20年度のGDPベースの輸出は前年度比14.4%減となるものの、21年度は同12.4%増と見込んでいる。

(日本経済研究センター 山崎理絵子、デジタル事業 情報サービスユニット 渡部肇)

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