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病院内に簡易CT室や隔離室、GE系やセントラルユニ

高崎総合医療センターの「CTインボックス」外観
NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

医療機器や医療用設備のメーカーが新型コロナウイルスの院内感染対策に本腰を入れている。画像診断機器大手の米GEヘルスケアは病院の駐車場や中庭に設置できる簡易型のコンピューター断層撮影装置(CT)室を発売。新型コロナの疑い患者とそうでない患者の動線を分けられるようにした。医療用設備大手のセントラルユニ(東京・千代田)は特殊な段ボールを使った病院向けの隔離部屋を来春に製品化することを目指す。

GEヘルスケアが日本で販売に力を入れるのが「CTインボックス」と呼ぶ簡易型のCT室だ。X線を遮蔽する構造のプレハブに胸部などの撮影に対応するCTを格納した。病院の駐車場や中庭に数日の工期で設置でき、新型コロナの疑い患者と一般患者などの動線を分けるのに役立つ。

定価は1億円を超えるが、新型コロナ禍の非常事態にあることから「医療機関のニーズや状況に応じて価格には柔軟性を持たせる」(GEヘルスケア・ジャパン)という。新型コロナの感染拡大を受けて同社が急きょ開発し、海外では中国や欧州などで計100台以上を販売してきた。

高崎総合医療センターが設けたGEヘルスケアの「CTインボックス」内部

日本では高崎総合医療センター(群馬県)やふじみの救急クリニック(埼玉県)など4施設が導入。他にも十数施設が近く導入見込みという。

このうち高崎総合医療センターは敷地内に「発熱者外来」を設置。隣接して簡易型CT室を設け、新型コロナの疑い患者の検査や診察を病棟の外で完結できるようにした。

新型コロナ患者の胸部CT画像に特有の影が映ることに着目し、PCR検査の前段階としてCT検査を使う。高崎総合医療センター総合診療科の佐藤正通部長は「新型コロナだけでなく、尿路感染症など発熱の要因をいち早く特定できる」と導入効果を語る。

日本は人口当たりのCT設置台数が主要国で首位。だが「新型コロナの治療に追われているような施設では不足気味だ」とGEヘルスケア・ジャパンの多田荘一郎社長は話す。簡易型CT室は医療機関にとって、院内感染を防ぎつつ受け入れ患者を増やす手段になる。

一方、セントラルユニが手掛けるのは特殊な段ボールを使った病院向けの隔離部屋だ。設置に数日かかるコンテナ式と異なり、30分程度で組み立てられる。価格は医療機器などを除き20万~30万円を想定しており、コンテナの3分の1程度に抑えられる。

デンソー、医療機関向けソフトウエア開発のオペパーク(東京・新宿)、東京女子医科大学、国際医療福祉大学と共同で試作品を開発。すでに実証実験を始めており、2021年春の製品化を目指す。

セントラルユニなどが開発した病院向けの隔離部屋

この隔離部屋は幅1.2メートル、高さ3メートルの段ボールを組み合わせて作る。設置場所に応じて段ボールをカットすることもできる。段ボールは特殊な構造で強度を高めたうえで抗菌・抗ウイルス性能があるシートなどを貼っている。従来の隔離部屋は鉄製のコンテナや布のテントが主流だが、大型で院内の設置が難しかった。

用途に合わせ、患者の待機室で使う外来用と入院患者の病室用の2種類がある。いずれもカメラやマイク、サーモグラフィーなどを取り付けることで内部にいる患者の様子を遠隔で把握できるようにする。室内の気圧を下げてウイルスが外に出るのを防ぐ陰圧装置も備える。

このほか、外来用は医師や看護師が隔離部屋の外にいたまま、採血や粘膜採取などができるようにもする。病室用は点滴の投与量を遠隔で操作できる機器も導入できる。

 新型コロナウイルスの感染拡大の第1波では、日本でも永寿総合病院(東京・台東)など複数の医療機関で集団感染(クラスター)が発生。こうした事態を防ごうと、多くの医療機関が自前での院内感染防止策に追われた。
 医療従事者用の防護服などの消耗品(PPE)も不足し、ゴミ袋を防護服代わりに使った医療機関もある。感染拡大が一時期に比べて緩やかになった現在も、院内感染防止はすべての医療機関にとって最優先課題の一つといえる。
 一方、新型コロナによる受診者の減少などで医療機関の多くは減収に陥っている。院内感染防止に多くのコストや人員は掛けられない状況だ。
 そこで医療機器や医療用設備のメーカーは「標準化」され、安価に導入できる院内感染防止策に力を入れる。自前の対策に比べ、医療現場で明らかになった問題点にもメーカー側で迅速に対応しやすい。GEヘルスケアの簡易CT室やセントラルユニの隔離部屋はこうしたタイプのソリューションだ。新型コロナだけでなく、さまざまな感染症への対策として中長期的にも需要が拡大しそうだ。
(企業報道部 大下淳一、高城裕太)

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