人事の覆面トーク、「北海道の学生を」「求ム体育会」
北の200万都市 生らサッポロ

新型コロナウイルスの拡大で北海道企業の採用姿勢にも変化が出ている。2021年春の新卒採用をとりやめる企業がある一方、コロナを機に「地元回帰」に期待を寄せる向きも多い。匿名を条件に観光や流通など札幌本社の6社の採用担当者らにインタビューし、本音を語ってもらった。

――コロナ禍の採用活動で変化はありますか。
観光「21年春入社の採用活動はコロナが広まる3月まで例年通り進めていたが、観光業への打撃が大きく現在は採用を停止している。来春入社はゼロの予定で、22年卒の採用も現状は未定だ」
流通C「来春入社の採用は止めている。人材を確保できないリスクはあるが業績が厳しい。22年卒の採用から再開する」
- 【関連記事】
――学生の関心は高いようです。
流通A「大卒のエントリーは前年と比べて約25%増えている。コロナで将来への不安があおられ、大手志向が強まっている」
金融「採用ページへの登録者が前年より増えている。今までと違い、学生は内定を持ちながらギリギリまで悩んでいる。説明会の中止など企業研究の場が少なかったことが影響している」

――コロナ禍で地元志向は強まっていますか。
流通B「札幌で働きたい意識が強い。ありがたい話で、北海道の学生を積極的に採用したい」
流通A「地元志向は強まっている。22年入社の採用から全国転勤か地域限定かに分けて採用活動をする予定だ」
観光「地元、大手志向は一層強くなるだろう。学生やその親は大企業がテレワークなどのコロナ対応を素早くできていたのかを見ている」
流通B「採用段階で勤務地を全国か地域限定かで選べるが、21年入社の学生は迷っている人がいる。首都圏に行くのは親の心配もあり避けようという動きもある」
――求める学生像は。
運輸「北海道や運輸業界への熱い思いを持っている人を採用したい。文系・理系で合否を決めることはない」
流通B「北海道のどこで働いてもよいという学生を採りたいのが本音」
金融「人が全ての業界なので人間力や個人の特性が重要だ。採用した学生の多くは地域経済を支え北海道を盛り上げたいという思いも強い」

――近年、学生の人気をどう感じますか。
金融「収益が厳しい印象が響き、底打ち感はあるものの減少傾向。テレビドラマ『半沢直樹』で使われる言葉や仕事ぶりが実際にあるのかという質問を説明会でされることがあった」
観光「学生からの人気は根強い。就活情報サイトのリクナビやマイナビからは『今からでも募集を出せば好きなだけ採用できる』という話が来ている」
――北海道では流通系の企業が人気です。
運輸「合同説明会では小売・流通企業のブースはどこも学生の人だかりができている。うちとは大違いだ」
流通C「ありがたいですね。全国で自社の商品を知る人が増え、マスコミに出る機会も増えたのが理由ではないか」
――女性や外国人の採用は。
観光「女性は出産を機に退職する人が多い。勤務地のホテル周辺に保育園がないことなどが理由で、業界で連携して解決できたらと思っている」
流通C「外国人はここ数年採用してきたが、外国人需要が不透明なため今後はあまり積極的には採用しない」

――「体育会系」人材は欲しいですか。
流通A「体育会系は欲しい。元気であいさつもできるから販売職は向いている」
流通C「私自身が体育会系なのもあり、採用したい。最近は体育会系の新卒学生を専門に扱う紹介会社があり興味がある。業者に支払う紹介料の相場が一般の学生より高かったのが印象的だ」
――北海道の学生にどんな印象を持ちますか。
観光「挑戦心に欠ける部分がある。チャレンジングな人は様々な場面でチャンスがあるので、そうあってほしい」
流通A「北大生はここ7~8年入社していない。社員は必ず店舗勤務を経験してもらうが、そうなると必ず敬遠されてしまう」
流通C「本州に出てみると北海道の良さが改めてわかる。学生は一度東京の大学に出るなどして戻ってくるのもいい」