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米大統領選、投票手続き混乱 行列11時間・非公式投票箱

民主主義大国に試練

(更新)

2週間後に迫った米大統領選で、投票手続きの混乱が広がっている。各地の期日前投票で大行列が発生したほか、共和党が独自の投票箱を設置して州当局が撤去を命じた。民主党の州知事の拉致計画も浮上し、発展途上国も顔負けの露骨な投票妨害が相次ぐ。民主主義大国の米国にとって試練となる。

期日前投票で長蛇の列ができた(15日、テキサス州ダラス)=AP

「行列に11時間並んでようやく僕らの番だ!」。南部ジョージア州のジョンタ・オースティンさんが期日前投票の大行列の様子をツイッターに投稿すると、約14万件の「いいね」がついた。

混雑の背景には、南部など共和党知事の州を中心にマイノリティー(少数人種)や貧困層の居住地域で投票所を削減していることがある。新型コロナウイルスの感染対策で過密を避けるとの名目だが、民主党支持者が多い貧困層らは車保有率が低く、投票に行きづらくなる。大行列で投票をあきらめる有権者もいる。

有権者登録をする際の本人確認を厳格化する州も相次ぐ。運転免許証のような政府発行の身分証が必要になるが、経済的な理由から免許証などの保有比率が低い黒人らを狙い撃ちにしているとの指摘もある。

フロリダ大学の研究者のウェブサイトによると、18日時点で2790万人が期日前投票や郵便投票を済ませた。4年前の同時期(約590万人)の5倍弱となった。民主党のバイデン前副大統領は投票率向上のため郵便投票の活用を呼びかけており、すでに郵便投票をした有権者のうち民主党支持者は共和支持者の2倍以上とされる。

トランプ陣営は郵便投票を「不正の温床」と非難し、各地で訴訟を起こす。米大学の調査では、15日時点で郵便投票などに関する訴訟は45州などで287件となった。

トランプ陣営の訴えに対し、東部ペンシルベニア州の最高裁判所は、郵便投票の投票用紙は2つの封筒で二重にして返送しなければならないとの判断を示した。個人情報保護のための規定だが、返送済みの約10万票が「無効」になる恐れがあるという。

共和党がカリフォルニア州で設置した「非公式投票箱」=ABC7ロサンゼルス・AP

西部カリフォルニア州では共和党が非公式の投票箱を州内に設置した。ロイター通信によると同党は有権者の代理として投票用紙を選挙管理当局に提出すると説明するが、不正を懸念する声もある。州当局は12日、州法に違反するとして投票箱の撤収を命じた。

中西部ミシガン州では民主党のウィットマー知事の拉致を企てた容疑で民兵組織が訴追された。同知事はコロナ対策などでトランプ氏と対立していた。トランプ氏は17日、同州での演説で「(知事を)収監しろ」と述べ、暴力を助長しかねないとの批判を浴びた。

米国では19世紀から自党に有利な選挙区を増やす区割りが実施されるなど、党派対立が投票手続きに影響を与えてきた。ただトランプ政権下では党派性を前面に出して投票妨害を試みる例が目立つ。大統領選でどちらの陣営が勝利しても、米国民の分断を修復する見通しは立たない。

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