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人が長期投資するのに必要なもの、それが積み立て

積立王子への道(16)

投資の世界で「積立王子」のニックネームを持つ筆者が、これから長期投資に乗り出す後輩の若者にむけて成功の秘訣を伝授するコラムです。

早めの一括投資にも一理あるけど…

ハジメくんの言うことは確かに一理ある。成長が持続する限り、世界経済の規模は長期的に成長分だけ拡大を続ける。そして経済成長を実現させる主体は世界中で経済活動に従事している産業界だ。世界経済の成長は産業界の成果の集積ともいえる。各企業が努力して世の中に付加価値を提供することで売り上げが増え、利益も増える。そして企業が稼ぐ利益が企業価値を増大させる。それは結果として価格(株価)に反映され、株式市場も経済全体の成長に伴って上昇軌道を描くことになるわけだ。

合理的行動が出来ないのが人間なんだ

だからハジメくんの言う通り、世界経済の持続的成長を前提とするならば早く、多く資金を一気に投資するのが合理的にも思えるよね。でも人間はそんなに合理的に行動できるわけじゃないのさ。大半の人は長期投資が目的でも、いざまとまった金額を投資したら翌日から日々のマーケット動向が気になって仕方なくなるんだ。

下がれば含み損の額を数えて眠れなくなり、仕事も手につかなくなったりする。逆に上がってくれば今度は欲が湧いて、売却して利益を手にしたくなる。人は欲望や恐怖をそうそう合理的にコントロールできる生き物じゃないんだ。結局そうした感情に負けて投資をやめてしまう人は経済成長から長期投資で果実を育てることができないんだ。

人生スパンの投資に伴走してくれるのが積み立て

人の理性と感情が必ずしも一致しないからこそ、少しずつ打診するように投資金額を積み重ねていく積み立て投資という行動が有効なのだよ。2人は長期投資とは人生スパンで投資を続けていくことだと理解しているよね。どうせ長期間投資を継続するのならば、その長期間にわたって一定金額を同じリズムで時間分散させて投入していく――これが定時定額積み立て投資だ。

人間の本質に基づいた「感情スタビライザー」

毎回少額ずつ投資に回すのだから翌日に価格が下がっても怖くないはずだ。むしろ下がっていれば次回にもっと安く買えて、長期投資にはより良い仕込みになるといえる。逆に上がったら素直に喜べばいい。何より積み立て投資は日々のマーケットの値動きに心が折れたり、ギラギラガツガツしたりしないための「感情スタビライザー」として有効なのだよ。要するに誰もが長期投資を継続実践するための、人間の本質に基づいた合理的行動手段なんだ。2人とも毎回無理ない範囲の金額の積み立てで長期投資を始めればいい。次回はもっと具体的に積み立て投資の効用を教えてあげよう。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。

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積み立て投資には、複利効果やつみたてNISAの仕組みなど押さえておくべきポイントが多くあります。 このコラムでは「積立王子」のニックネームを持つセゾン投信会長兼CEOの中野晴啓さんが、これから資産形成を考える若い世代にむけて「長期・積立・分散」という3つの原則に沿って解説します。

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