今日も走ろう(鏑木毅)

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マイボトルから始める温暖化対策

2020/10/22 3:00
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世界最古の山岳リゾート地として名高いフランスのシャモニー。街のどこからでも目にする青く輝くボソン氷河は、ヨーロッパアルプス最高峰モンブランの眺めとともに私の大好きな風景だ。この氷河がここ5年で急速に消えつつあるという。

ロードレースではこれから紙コップを使わずに走りたい

ロードレースではこれから紙コップを使わずに走りたい

日本でもここ数年の気候は異常だろう。冬は考えられないほど積雪が少なくなり、夏は命に危険をおよぼすほどの暑さ。梅雨や秋には毎年「観測史上最大級」と形容される台風が被害をもたらす。大雨のたびに山道は崩落し、登山道をおびただしい数の倒木がふさぎ、手もつけられずに廃道化する山道も多い。アウトドアにかかわり一年を通して自然に触れていると、植生や動物の生態系も含めて山の様相は、ほんの10年前と比べても明らかに変化している。

30年ほど前、大学の講義で「近い将来、温暖化の影響で人類は大きな痛手を負う」と語気を強めて教授が語っていたのを思い出す。当時は私自身も周囲の友人ら誰しもが危機感など全くなく、机上の空論だろうと高をくくっていた。地球規模の温暖化の問題は政治的な要素が絡み、たかが一個人が配慮したところで一体どの程度改善するのか疑問でもあった。

さらに経営コンサルタントの友人から「環境という言葉は錦の御旗のようなもの。これを掲げればそつなくビジネスツールとして役立つ」などと聞くと、温暖化という事象と真剣に向き合う気になれず、恥ずかしいことについ最近まで問題意識はこの程度だった。地球温暖化ほど人々の意識と事の深刻さが乖離(かいり)した問題はないように思える。真の意味での重大さを骨身に染みて感じ、危機感を抱く人々はどれぐらいいるだろうか。

某アウトドアメーカーの協賛するマラソン大会では、給水所で紙コップではなくマイボトルを使ってもらう試みも始まっている(写真は2019年の大阪マラソン)

某アウトドアメーカーの協賛するマラソン大会では、給水所で紙コップではなくマイボトルを使ってもらう試みも始まっている(写真は2019年の大阪マラソン)

最近の異常気象を頻繁に目の当たりにし、今さらながらではあるけれど重大さを痛感する。広く問題意識を共有するには、地球規模で考え始めると想像力にも限界があるため、あえて近視眼的な考え方を率先してみるとよいのではないかと思う。たとえば私なら登山者やトレイルランナーがいつまでも楽しめる自然を守りたいし、自分の娘にはこの先もこれまでのような気候のもとで生きていってほしい――といった具合。

その上で、具体的な温暖化への対処法とはなんだろう。大それた問題意識でなくても各自が最も身近に感じる未来を想起し、多少の不便さやコスト増を伴っても社会全体で小さな行動を積み重ねていくことが欠かせない。私のランナー活動を支援してもらっているアウトドアメーカーはもともと地球環境の保全に力を入れている。同社が協賛するあるマラソン大会では、今回から給水所での紙コップを全廃し、マイボトルを使用することを提案し採用された。ランナー自らウオーターリザーバーで給水するのは面倒で、賛否両論あるようだ。ただ、環境問題に取り組む第一歩とは、生活のあらゆる場面でこうしたひと手間を受け入れていくことにほかならない。

子供たちが屋外でも暑さを楽しめる夏、雪国では普通に雪が積もる冬、当たり前の四季を取り戻すために、一人ひとりが一つの紙コップ、ペットボトルを減らしていく地道な行動をスタートさせてみませんか。

(プロトレイルランナー)

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