タイ中銀総裁、追加利下げ視野 反体制デモの影響懸念

2020/10/20 17:30
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記者会見するタイ中央銀行のセタプット総裁(20日、バンコク)

記者会見するタイ中央銀行のセタプット総裁(20日、バンコク)

【バンコク=村松洋兵】タイ中央銀行のセタプット総裁は20日の記者会見で、金融政策について「机上にはあらゆる選択肢が載っている」と述べ、追加利下げの可能性を示唆した。学生らを中心とする反体制デモの経済への影響を懸念する。デモは収束の兆しが見えず、政府はメディア規制を強化するなどして抑え込みに躍起だ。

1日に新総裁に就任したセタプット氏が記者会見するのは初めて。世界銀行を経て、直前はプラユット首相の経済顧問を務めていた。

タイの政策金利(翌日物レポ金利)は新型コロナウイルスを受けて2020年に3回引き下げられ、5月に過去最低の年0.5%になった。それ以降は3会合連続で据え置いている。セタプット氏は長期金利を0%程度に誘導する金融緩和策を導入する可能性も「除外しない」と答えた。

セタプット氏が金融緩和を視野に入れるのは反体制デモが一つの原因だ。国内経済の懸念材料として首都バンコクなどで14日以降続くデモを挙げ、「消費や投資、観光に与える影響を注意深く監視する」と話した。

デモは首都の繁華街や駅周辺でゲリラ的に行われており、商業施設や鉄道が営業停止になる事態が起きている。タイの消費者信頼感指数(100以上が好感)は大規模デモがあった9月に、5カ月ぶりに低下し50.2となった。10月はデモ拡大を受けて、さらに悪化する可能性がある。

株価も下落している。代表的な株価指数であるSET指数は、バンコクでデモが始まった14日から19日まで4営業日続落した。20日は小幅反発したが、デモが始まる前の12日と比べた下落率は5%に達し、6カ月ぶりの安値水準だ。

一方、通貨バーツは1ドル=31.2バーツ前後でほとんど動いていない。米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和により、対ドルでバーツが下がりづらくなっている。タイの主力輸出品の自動車や電機にとっては行き過ぎたバーツ高とされる。国内景気の下押し圧力が強まるなか、輸出にも厳しい状況が続く。

デモ隊は20日もバンコクで7日連続となる集会を計画する。「集会を禁止する非常事態宣言の解除や逮捕者全員の無条件の釈放」を求めている。

政府はデモの抑制を狙いメディア規制に乗り出した。刑事裁判所は20日、政府の求めに応じてデモの映像をライブ中継したネットメディア1社に配信停止を命令した。政府は他の3社にも停止を求めている。非常事態宣言により「社会を混乱させる情報」の配信や「デモへの参加を促す」行為は禁止されている。

プラユット首相は20日の閣議後に「フェイクニュースやゆがんだ情報で(デモを)扇動するメディアは閉鎖しなければならない」と述べた。

閣議ではデモの対応策を協議するため、休会中の国会を臨時招集し26、27日の両日に開くと決めた。デモ隊の主要な要求項目の一つである憲法改正についても議論する見込みだ。

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