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中東経済、新型コロナからの回復遅れ 原油安重荷

サウジは新型コロナ対策で停止していたイスラム教の巡礼の受け入れを再開した(4日、メッカ)=ロイター

【カイロ=久門武史】中東経済が新型コロナウイルスの打撃からの回復に手間取りそうだ。国際通貨基金(IMF)は19日、2021年の回復が先進国などから遅れると予測した。消費や生産は戻り始めたが、感染再拡大の懸念がくすぶり、原油価格の低迷が重荷となる。

IMFは19日発表した地域経済見通しで、中東・北アフリカの21年の実質成長率を3.2%と、4月時点から1ポイント下方修正した。世界全体の5.2%、先進国の3.9%を下回る。中南米やアジアの新興国と比べても回復が弱い。20年は5%のマイナス成長とした。

新型コロナの感染が欧米に遅れて再び拡大し、回復の足を引っ張る。中東で最悪のイランは1日当たりの新規感染者が5千人に迫り過去最多を更新した。10月上旬に首都テヘランで学校やモスクを1週間閉鎖し、保健省高官は「緊急以外の入院は認めない」と医療崩壊に危機感を示した。

ヨルダンは9日から週末の外出禁止を全土で敷いている。アラブ首長国連邦(UAE)ではアブダビ首長国が厳しい陰性証明を訪問者に求め、ドバイなど国内との移動さえ滞っている。

イスラム教の聖地メッカがあるサウジアラビアは4日、小巡礼(ウムラ)の受け入れを再開したが、感染対策で停止した半年間の打撃は大きい。メッカで食品店を営むサレハ・ハレビさん(37)は「売り上げが急減し、従業員を解雇しなければならない」と漏らす。

新型コロナによる需要減で原油の価格がさえず、サウジなど産油国には二重の打撃だ。国際指標の北海ブレント原油先物は1バレル40ドル台と年初より4割安く、大半の産油国で財政赤字が膨らむ。IMFの地域担当、ジハド・アズール氏は取材に「域内の石油収入は今年2240億ドル(約24兆円)減る。収入の多様化が重要だ」と指摘した。

オマーンは12日、来年4月に5%の付加価値税(VAT)を導入する勅令を出した。VATを7月に3倍の15%に上げたばかりのサウジは2日、不動産取引のVATを免除し、不動産取引税5%のみを徴収すると発表した。ジャドアーン財務相は「市民の負担を減らし、経済を助ける」と景気刺激の狙いを説明した。

非産油国のエジプトは外貨獲得の柱の観光で客足がなかなか戻らない。ギザのピラミッド周辺の土産物店で働くムハンマド・ジザウィさん(40)は「売り上げは去年の1割もない。客が来てもほとんどがエジプト人だ」と嘆く。

レバノンは8月に首都ベイルートで大規模な爆発があり、経済危機に拍車がかかった。IMFは20年の同国経済を25%のマイナス成長と予測している。

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