清水銀、SBI共同店から3年 人材育成などで成果

2020/10/19 20:00
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清水銀行SBIホールディングス傘下のSBIマネープラザ(東京・港)と地銀初の共同店舗を始めて3年たった。顧客の選択肢が広がり、人材育成でも成果が出てきた。一方で利用客は清水銀の既存客が大半で、新たな客の開拓が課題として浮上している。

「SBIマネープラザ浜松」(浜松市)には1日平均1~2人の来客がある

浜松市内の浜松東支店内にある共同店「SBIマネープラザ浜松」。SBIマネープラザは現在、地銀12行と16店を共同運営するが、その先駆けが同店だ。顧客のニーズに応じて商品を設計できる仕組み債を中心に、銀行で扱う投資信託や国債以外を売り込む。

SBI証券傘下で対面営業店舗を全国展開するSBIマネープラザの社員2人や清水銀の行員2人らが常駐する。清水銀の各支店から月30件ほどの相談が本部に寄せられ、3月に静岡市内にできた2店目の共同店とともに情報を共有する。

「銀行は元本保証という『守り』の世界だ。証券を扱い『攻め』の姿勢を知った」。清水銀の西田和興次長は語る。銀行業と証券業という異なる業態の店とあって、当初は文化の相違を感じることもあったという。

異なる文化や異なる商品を吸収することが行員の育成にもつながっている。同行の望月大嗣氏は「銀行で働いているだけではできなかった(資産形成の)よりよい提案ができるようになった」と手応えを感じる。

一方で課題も浮き彫りになってきている。

静岡県西部は県中東部に比べ富裕層が厚いとみた清水銀。証券会社と取引する新規客の開拓をめざして1号店をあえて本店のある静岡市内ではなく浜松市に置いた。

2店目もあわせた9月末時点の実績は預かり資産残高が約55億円、顧客が650先となり、「順調に増えている」と同行は評価する。しかし顧客のほとんどは清水銀の既存客だ。顧客の開拓は遅れている。

この3年で清水銀などの提携銀行に口座を持てば、SBI証券の商品購入時に便利なサービスも生まれてきた。一例は2019年7月に始めた「リアルタイム入金サービス」。普通預金口座があれば、商品購入の資金をSBI証券の口座に即座に手数料無料で移せる。

提携が生きるサービスが出てきたにもかかわらず、清水銀では新たな客の開拓に十分結びつけられていないという現実がある。現場からも「こうしたサービスの顧客の認知度を高める必要がある」との声があがる。営業担当者自身の理解をより深めていくことも求められそうだ。

同様なサービスの拡充をSBI側と検討していく課題もあるだろう。

清水銀の20年3月期の連結最終損益は39億円の赤字(前の期は25億円の黒字)だった。リーマン・ショックを受けた09年3月期以来11年ぶりの赤字だ。コロナ禍を背景とする株式市場の低迷が直撃した形だが、低金利や人口減による厳しい経営環境は続いている。

SBIホールディングスとは2月、資本業務提携を発表した。清水銀の豊島勝一郎前頭取(現会長)は「独自路線の強化が第一」と語り、提携を通じて生き残りをめざす構えを示している。

SBIとの協業を顧客網の維持だけでなく、拡大にもつなげられるのか。そこをなし遂げて初めて共存共栄の果実を刈り取ることになる。共同店の取り組みはまだ緒に就いたばかりだ。

(亀田知明)

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