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年内にやっておきたい節税技 iDeCoは開始まで手間

知っ得・お金のトリセツ(27)

気がつけば年内に残された営業日は約50日になった。ここからは例年、一気に日めくりが進む。特に年末のボーナスも期待薄のコロナ禍の今年。いつも以上に余分な出費を削り、取り返せるものは取り返す心構えが必要だ。年内にやっておくと節税につながるお得技はいくつかあるが、準備には一定の時間がかかる。できることからすぐ着手しよう。例えば節税効果の大きい個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)は運用開始に手間暇がかかるので年内スタートにはギリギリのタイミングだ。

「課税所得」を減らす控除を駆使

個人の節税のキモは「課税所得」の圧縮にある。稼ぎから徴収される所得税は毎年1~12月の所得をもとに「所得控除」を差し引いた残りの「課税所得」に税率を掛けて計算する。いまさら稼ぎは増やせないとしても、所得控除額を膨らませて課税所得の額を圧縮することは年末までにまだ可能だ。

所得控除とは「そういう事情なら大変だろうからこの分はなかったことにしていいよ」と稼ぎから差し引ける税制上の考え方で15種類ある。12月末の状況で判断し1~12月分の稼ぎに反映させるので、仮に大みそかに「配偶者控除」の対象者と結婚すれば年間38万円を減額でき「38万円×税率分」だけ節約できる。今年の結婚歴が1年だろうと1日だろうと使える枠は同じ。毎年年末に向け節税記事が盛り上がるゆえんだ。生命保険や地震保険など保険料が代表例で、無理やり加入するのは本末転倒だが「どうせ入ろうと思っていた」のであれば今年の控除枠は残さず使った方がお得――これが基本の考え方だ。

イデコの節税効果は大きいが…

話題の運用方法、イデコの場合はどうか。イデコは国民年金、厚生年金の上の自分年金の位置づけで「3度おいしい税制優遇」が売りだ。通常なら運用益から20%強取られる税金が非課税になるのは少額投資非課税制度(NISA)も同じだが、NISAにないイデコの大きなメリットが掛け金を出すときの節税効果だ。所得控除の1つ(小規模企業共済等掛金控除)なので、掛け金分だけ「なかったこと」になり税金を払わずに済む。

年間に拠出できる額は自営業や専業主婦、会社員など属性ごとに決められている。例えば会社に企業年金のない会社員の上限は月2万3000円。扶養家族の状況などで異なるが年収500万円の人なら1年でざっくり4万5000円の節税につながる。30歳から60歳までの30年間で考えれば135万円もお得になるわけだ。ちなみに「3度おいしい」の3度目は60歳以降の受け取り時。年金方式、一時方式いずれにも非課税枠が設定されている。

拠出時に使えるイデコの非課税枠は1年ごとに「リセット」される。今年使わなかった分を来年に回せるわけではないので早く始めたほうが差し引ける累計控除額は大きくなる。

運用開始までには2~3カ月

とはいえ前述の配偶者控除などと異なり、あくまで拠出額に対する控除なので、今年これからのスタートで考えれば差し引けるのはこれから拠出できる12月分にとどまる。その際まとめて1年分をポンと出すことは今年はできず丸々節税効果が享受できるのは来年からだ。

今年分のお得は数千円単位にとどまるとはいえ、やはり早めに手続きを進めておくに越したことはない。イデコのネックは開始までの手間が面倒なこと。ネットで完結しない書類のやり取りを伴い複数の機関が関わるので、始めようと思ってから実際の運用開始が2~3カ月後になることも珍しくない。会社員の場合、会社に必要書類を埋めてもらうという手間も加わる。早めに枠を使えるようにしておくことが大事だ。

山本由里(やまもと・ゆり)

1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

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