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DeNA佐野、レギュラー1年目で首位打者へ着々

2020/10/20 3:00
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16日の巨人戦で5戦連発となるソロを放ったDeNA・佐野=共同

16日の巨人戦で5戦連発となるソロを放ったDeNA・佐野=共同

新型コロナウイルス禍でイレギュラーな形となったプロ野球のペナントレースも大詰めとなり、個人タイトル争いが熱を帯びてきた。目下、セ・リーグの打率トップに立っているのはDeNAの4番・佐野恵太。急成長を遂げて初めて規定打席をクリアした25歳が、並み居る強打者を抑えて首位打者に一番近いところにいる。(成績は19日現在)

日本では珍しい「8番・投手」というオーダーを組んだり、確実に1点が欲しい場面でも送りバントを使わなかったり。DeNAのアレックス・ラミレス監督の采配は何かと野球ファンの議論を巻き起こしがちだ。しかし、米大リーグ・レイズに移籍した筒香嘉智の後釜となる「4番・左翼」に、プロ4年目の佐野を据えた決断に否定的な声はもはやないだろう。

■指揮官の期待を大きく上回る打率

打率はリーグトップの3割3分1厘で、69打点は同5位タイ。16日の巨人戦で球団タイ記録となる5試合連続弾を放つなど、本塁打も20本の大台に乗せた。何よりも称賛すべきは、開幕から全試合で4番に座り、チームで唯一全試合出場を果たしていることだ。

「120試合で2割8分から2割9分を打つ能力がある。本塁打は15から20本。打点は70、もしかしたら80点くらい。それくらいの数字を残してくれればレギュラー1年目の選手としては十分」。開幕前日の6月18日、ラミレス監督はこんな見立てを披露していた。恐らく願望も込めての数字だったはずだが、本塁打と打点は既にほぼ指揮官の言葉通り。打率に至っては期待を大きく上回る数字を残しそうだ。

明大出身、2017年にドラフト9位でDeNAに入団した。ドラフト1位という金看板を背負い「将来の4番」としてプロの門をたたいたエリート選手ではない。プロ入り後は一段ずつ自らの立ち位置を高めていった。昨季は左の代打の切り札。試合終盤の胃がキリキリするような勝負どころで起用され、3割6分7厘という高い得点圏打率を残した。

佐野(右)の勝負強さを評価して4番に抜てきしたラミレス監督(中)=共同

佐野(右)の勝負強さを評価して4番に抜てきしたラミレス監督(中)=共同

ポテンシャルの高さと勝負強さを見初めたラミレス監督は、春の沖縄キャンプから佐野を「4番・左翼」として起用する考えを明言。筒香を継ぐ主将にも就任し、レギュラーとして1年を過ごした経験がない左打者が一転、チームを引っ張る立場となった。

段違いの注目を浴びることになった今季、その歩みは順風満帆ではなかった。6月の開幕前に実施された練習試合では初安打まで24打席を要した。

開幕後は順調に安打を積み重ねたが、今度は本塁打が出ない。各球団の4番が「これぞ4番」という豪快な一発を見せつけるなか、佐野の打球は外野フェンスを越えない。「素晴らしい打者に前後を挟まれているので、走者が塁にいればかえしたい。打線としてつなげる役割を」。この時期は自らに言い聞かせるように「つなぎの4番」という意識を強調した。

待望の第1号が生まれたのは、開幕から約1カ月が経過した7月22日のヤクルト戦。一回にチェンジアップを捉えて無人の右翼席に届け「やっと本塁打を打つことができ、正直ホッとした」と漏らした。打線において特別な存在である4番を任されている以上、早く一本が欲しいというのが偽らざる心情だった。

身長178センチ、体重88キロで、巨人・岡本和真やヤクルト・村上宗隆といった他チームの4番と比べると一回り小さい。体を大きくみせるようにずっしりと構える「大砲」タイプではなく、「中距離砲」という表現がしっくりくる。直球だろうと変化球だろうと、初球から積極的にフルスイングするのがスタイルであり強みだ。

佐野は初球から積極的にフルスイングするのがスタイル=共同

佐野は初球から積極的にフルスイングするのがスタイル=共同

結果が出ても出なくても、試合が終われば相手投手の特徴や自分の調子をノートに書き留め、1人で黙々とバットを振る。「打席に立つ前にしっかり準備ができている」とラミレス監督。初球から力強くバットが振れるのは日々の積み重ねがあってこそだ。

本拠地・横浜スタジアムのヒーローインタビューで、お決まりになった掛け合いがある。インタビュアーが「佐野選手、あしたも本塁打を期待していいですか?」と問いかけると、佐野はニヤリとしながら「期待しないでくださーい」と返す。本塁打の出なかったシーズン序盤の姿をネタにできるのは、打撃の好調さを維持していることの裏返しだろう。

今季は3試合連続で無安打ということがない。シーズン終了まで残り17試合。このまま"巡航速度"を保つことができれば、プロ初タイトルをつかみ取れるはずだ。

(木村慧)

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