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札幌の進学校「南北対決」に異変、コロナの地殻変動

北の200万都市 生らサッポロ

札幌市の公立進学校は長く、南北の2強時代が続いてきた。北海道大学への進学にめっぽう強い札幌北高と、東京大学や医学部受験を得意とする札幌南高。絶妙なすみ分けで道内外に優秀な人材を供給してきた2校にも、新型コロナウイルスによる地殻変動が迫る。

札幌商工会議所の岩田圭剛会頭に北海道経済同友会の石井純二・筆頭代表幹事(北洋銀行会長)、北海道ガスの大槻博社長――。札幌北高出身者は札幌の経済界にも多い。目立つのは金融で、北海道銀行の笹原晶博頭取と北洋銀行の安田光春頭取はいずれも北高卒。北海道信用金庫の前田繁利理事長や、日銀札幌支店長だった小高咲氏も同窓だ。

卒業後のOBやOGの結びつきは強い。8月に北海道二十一世紀総合研究所(札幌市)の副社長に就いた小高氏の人事を後押ししたのも、北高関係者だったとされる。ある北高OBは「業種をまたいで親交があり、ゴルフや飲み会などで定期的に集まっている」と胸を張る。

札幌北高校は北海道大のそばにある

1902年に女学校として開校した札幌北高は北大の目と鼻の先にあり、既卒を含めれば毎年100人以上の北大合格者を輩出する「日本一北大に強い高校」だ。地理的な近さに加え、長年の実績から北大進学を望む学生が集まってくる。

入学したばかりの新入生320人のうち、300人が北大への進学を希望する。北高進路指導部の小松旭教諭は「北大進学を強く勧めているわけではない。道外の大学にも視野を広げられる支援をしているが、それでも北大進学のイメージが強いのだろう」とみる。

自身も北大に進み、北高の同窓会長を務めている札幌医科大医学部の当瀬規嗣教授は「北大に入学した時、本州から来た同級生に『北高は北大の付属校なの?』とよく間違われました」と振り返る。

対照的に、札幌南高の進学先には北海道以外の大学が目立つ。20年3月時点の東大・京大の合格者(既卒含む)は31人に上り、北高の15人の2倍超。旧帝大を含む国立の難関10大学の合格者は170人を超える。

1895年開校の南高は北高より歴史が長く、私服で登校する自由な校風が特長だ。ニトリホールディングスの白井俊之社長や東海大の山田清志学長ら、本州で活躍する人材も多数。北大の学長選に立候補した3氏は当選した宝金清博氏を含む全員が南高出身だった。

南高は医学部進学にも強く、20年は全国の国公立大の医学部に公立校としては全国最多の51人(既卒含む)の合格者を輩出している。新入生320人のうち100人がまず医学部を希望するといい、南高の高桑知哉・進路部長は「北大に限らず高みを目指す学生が多い」と校風の違いを語る。

南高の同窓会「六華同窓会」は卒業生が学生向けに年10回講演会を開き、道外への進学を後押ししてきた。同窓会長の大西雅之氏(鶴雅ホールディングス社長)は「東京の同窓会では南高出身の大学生に就職相談会を開いている」と面倒見の良さを自負している。

札幌南高校では生徒が私服で登校する

新型コロナは2校のすみ分けに波紋を投げかける。大手予備校関係者は「コロナで地元にとどまる傾向が強まり、北大を目指す本州の高校生が減る可能性がある」。南高の高桑教諭は「北大に行きたい学生は多い。彼らにとって朗報になるだろう」と期待を隠さない。

南高では医学部を志望していた学生が新型コロナ治療に疲弊する医療現場を目の当たりにして不安を強め、医学部受験を断念するケースも出ている。逆に外向き志向だった南高生に北大志向が強まる可能性も出てきた。

北高の小松教諭は「東京など都心部を離れたいと考える学生は依然多いはず。厳しい競争に変わりはない」と冷静だ。北大への人材供給源として先達が築いたトップの座を譲る気はない。南北の頂上対決は熱を帯びる。

(塩崎健太郎)

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