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財政見通し、黒字?赤字? 都構想、賛否両派が独自試算

11月1日に住民投票が行われる「大阪都構想」の争点の一つが、大阪市を廃止して4特別区に移行した場合の財政見通しだ。賛否両派が正反対の財政シミュレーションを示し、それぞれの妥当性を巡り応酬を繰り広げる。住民サービス維持には財政面の裏付けが必要。新型コロナウイルス感染拡大による税収減も想定される中、有権者の関心を集めている。

大阪府・市は2019年12月、新制度に移行した場合の4特別区の財政シミュレーションを公表し、いずれの区も25年元日の設置から15年間は黒字を維持できると説明した。

20年8月には、コロナ対策の一環である小中学校の給食費無償化(77億円)などを反映した再試算を公表。以前の試算より黒字幅は縮小するが、特別区全体でどの年度も17億~77億円の黒字を保つとした。

これに対し、都構想を推進する大阪維新の会の置田浩之府議は9月28日の大阪府議会で、独自に試算した特別区の財政見通しを示した。例年、予算より決算のほうが黒字額が上振れしていると指摘。20年度当初予算を基に算出した府・市の試算を決算ベースで計算し直せば、4特別区の合計で毎年度240億~300億円の黒字になるとした。

維新の松井一郎代表(大阪市長)は「実際の特別区の財政運営は今の予想よりプラスアルファが多くなると思う。知事や市長として財政運営をした経験を基に事実を正確に伝えていく」と自信をみせる。

同じく都構想を推進する公明党の土岐恭生・府本部幹事長は17日の記者会見で「大阪市が一定の条件のもと(8月に)試算したグラフが信用に値すると思う」と述べた。コロナ収束後にインバウンド(訪日外国人)はある程度回復し、大阪経済は成長に向かうと分析。維新と同様に、特別区の財政運営は問題ないとの立場だ。

一方、都構想に反対する自民党は府・市や維新の試算を「甘すぎる」と批判。独自試算を示し、特別区に移行すれば財政が悪化して住民サービスを維持できない恐れがあると指摘する。

府・市の試算は、市が全株式を保有する大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)からの配当金などを見込んでいる。25年度に53億円、26年度以降は71億円とし、コロナ禍の影響は織り込んでいない。

自民の試算は、コロナ禍で悪化した大阪メトロの業績が以前の水準に戻るのは25年度で、その後も横ばいと仮定した。この結果、25年度は4特別区合計で約10億円の赤字。26~28年度は黒字になるが、29年度以降は赤字が続くとした。

さらに、自民の前田和彦市議は「特別区になると約600人の職員が不足し、新たな人件費として少なくとも年間約30億円が必要だ」と指摘。その場合、特別区の財政赤字が一段と拡大するとの試算も示した。

同じく都構想反対の共産党も、府・市が示した財政シミュレーションを疑問視する。山中智子・市議団団長は、維新の独自試算に対し「(都構想の制度案を議論した府・市の)法定協議会で一度も議論されたことがない試算を突然出すのはおかしい」と憤る。(高橋彩、玉岡宏隆)

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