LIBOR廃止へ行程表 FSB、早期対応呼びかけ
【ロンドン=篠崎健太】主要国の金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)は16日、2021年末に予定されるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の廃止をめぐる、利用者向けの行程表を公表した。同金利を使う既存契約は、21年半ばまでに移行計画を確立する必要があるなどと提示した。混乱を避けるための早期対応を呼びかけた。

LIBORは短期金利の国際指標で、融資やデリバティブ(金融派生商品)など様々な取引に使われている。申告に基づく算出の仕組みを悪用した欧米大手銀による不正操作問題を機に、取引実勢に基づく新指標への切り替えが決まった。
行程表は移行作業を終える時期の目安を示すものだ。LIBORを参照する契約や利用状況は全てが既に特定され、廃止に伴う影響の分析が現時点で終わっていなければならないと指摘した。未完了の場合は速やかに実施するよう求めている。
20年末までに、金融機関は新指標に基づくローン商品を提供できる体制を整えるべきだとした。満期が22年以降にくるLIBORを使う既存契約の当事者は、対応策を21年半ばまでをめどに固める必要があるとした。
FSBは「LIBORは21年末以降の継続が保証されていない」と述べ、廃止予定日のだいぶ前に対応が進んでいる必要があると強調した。「依存が続くことは世界の金融安定に明白なリスクをもたらす」と訴えた。
主な金融当局は独自に行程表を掲げている。英国では満期が22年以降のLIBORを使うポンド建ての新規融資は、21年3月末で打ち切るよう求めている。米国は変動利付債では20年末、事業融資やデリバティブなどでは21年6月末で、それぞれドル建てLIBORの新規利用を終えるべきだと提言している。
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