バンコクの非常事態宣言、来月13日まで 集会を禁止
【バンコク=村松洋兵】タイ政府は16日、首都バンコクに発令した非常事態宣言の期限を30日間とし、11月13日まで適用すると発表した。学生らを中心とする反体制デモの抑制を狙い、5人以上の集会を禁止する。社会を混乱させるニュースの発信やSNS(交流サイト)への投稿も禁じる。

バンコクを対象にした非常事態宣言は15日にプラユット首相が首相権限で出し、16日に閣議で承認した。元陸軍司令官でプラユット氏の先輩に当たるプラウィット副首相(治安担当)が同宣言の責任者を務める。同氏の判断で移動や施設使用の禁止も命じられる。
プラユット氏は15日、「事態が収束すれば期間は30日間より短くしたい」と述べ、学生らにデモの沈静化を促した。
16日にバンコク中心部で起きた3日連続となる集会では、警察当局が放水車や催涙ガスを使ってデモ隊を排除した。集会禁止の違反を理由に、反体制運動の主要グループ「フリーピープル」のリーダーであるタテープ氏らを逮捕した。強硬的な対応に国内外からの批判が高まりそうだ。
タイ政府は新型コロナウイルスへの対応で3月に全土を対象とした非常事態宣言も出している。プラユット氏に権限を集中させ、感染防止対策を機動的に講じられるようにしている。
コロナ対策を理由に集会の禁止やメディアの検閲もできることから、強権維持に利用しているとの見方がある。1カ月単位で延長が繰り返されており、バンコクを対象にした今回の宣言も延長される可能性がある。