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7月豪雨の避難者数、自治体把握の5倍か 熊本・球磨村

(更新)
熊本県球磨村の住宅街は壊れた家が多く、閑散としていた(9月29日)

7月豪雨で大きな被害を受けた熊本県球磨村の避難者数は自治体把握の5倍か――。スマートフォンの位置情報を使った日本経済新聞などの調査でこんな推計値が明らかになった。村外の避難者を把握し、どう支援するかが課題になっている。

調査には九州経済調査協会(福岡市)とコロプラおでかけ研究所(東京・渋谷)が協力した。住民のスマホの全地球測位システム(GPS)から位置を特定し、夜間の滞在場所を被災前後で比較。データ活用の許諾を得たサンプルから推計した。

調査によると、球磨村の避難者は9月30日時点で住民全体の43%に上った。被災後は横ばいの状況が続いており、村の人口(約3400人)から単純計算すると、約1450人が避難生活を続けていることになる。

一方で、球磨村が把握している避難者数は避難所に滞在する255人(10月1日時点)で、今回の調査とは5倍以上の開きがあった。

球磨村によると、9月末時点で70世帯分の仮設住宅が完成し入居が始まっているが、それ以外は親族や友人宅、ホテルなどに身を寄せている可能性が高い。村の担当者は「村外の親戚や知人の家に避難していると把握しきれない」と話す。

また、調査で推計した球磨村の避難者数のうち、79%が村外に滞在しているとみられることが判明した。村内は21%で、近隣の人吉市(46%)、錦町(11%)、多良木町(9%)、相良村(5%)などだった。

九州経済調査協会の担当者は「球磨村は通勤通学で人吉市などを利用する住民が多い。自宅再建にメドがつくまで、経済活動や医療介護などの生活圏が同じ地域にとどまりたい避難者が多いのでは」と指摘する。

避難者の居場所や連絡先が分からなければ、食料や支援物資の供給が進まず、住宅再建支援策などの情報も伝わりにくい。コロプラおでかけ研究所の担当者は一つの対策として「スマホの位置情報を活用すれば、災害関連の情報をインターネットやSNS(交流サイト)の広告などの形で特定の地域にいる避難者のスマホに提供することができる」と提案する。

兵庫県立大の室崎益輝・減災復興政策研究科長は「被災者の所在を把握できず、必要な情報が届けられないと地域との関わりが途絶え、復興の足かせになりかねない」と指摘。「民間と自治体が連携してスマホの位置情報などの活用が進めば、避難者の声を反映した生活再建策や復興政策の立案につなげられるのでは」と話している。

7月豪雨


 7月3日から8日にかけて梅雨前線が日本列島付近に停滞し、特に九州では4日から7日に記録的な大雨となった。球磨川などで氾濫が相次ぎ、土砂災害や低地の浸水などのため全国で84人が死亡した。熊本県球磨村では25人が死亡し、住宅約400棟が全半壊した。

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