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マスク 経営再建の糸口に 北日本紡績、抗菌糸開発も

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アラミド繊維の紡績糸が主力事業

紡績事業の北日本紡績が経営再建のため新規事業の強化に動いている。7月にマスクなどのヘルスケア事業を立ち上げ、樹脂のリサイクルにも参入した。近年は営業赤字が続き、財務状態は悪化している。収益力を向上させ、黒字転換を急ぐ。

「とにかくまずは黒字化。安定して収益を上げられるように多角化もしなくてはいけない」。5月に就任した粕谷俊昭社長は意気込む。

まず取り組んだのがマスク。自社工場にクリーンルームを新設し、7月から自社ブランドでの販売を始めた。受注は好調で、さらなる設備投資の計画もある。リサイクル事業も始めた。新しい設備を導入し、化学メーカーなどから出る廃棄プラスチックを自社でペレット化し、国内を中心に再販する予定という。

一連の新規事業の拡充には株主割当増資で対応する。28日から既存株主を対象に、総額約6億3300万円を発行する。最低でも4億8000万円を調達し、一部は運転資金にも回す予定だ。資金調達に成功すれば、今期の開発費は前期比で約7倍に増える。

こうした資金も活用し、紡績事業も強化する。北陸先端科学技術大学院大学(石川県能美市)と連携、抗菌・抗ウイルス糸の開発を始めた。プラスチックやエアバッグの廃材などを再利用した紡績糸も製造する。

同社は衣服や自動車資材向けにアラミド繊維の紡績事業を手掛けてきた。帝人からの委託加工が売り上げの中心だったが、受注は徐々に減少。新型コロナウイルスの影響もあり、「足元の受注は想定よりさらに減っている」(担当者)という。

2019年からは中東の民族衣装用の生地を輸入・販売してきた。販売の大幅増で、20年3月期の単独売上高は前の期比約30%増加した。ただ、先行コストもかさみ、赤字幅は拡大した。さらに、今期は思わぬ影響も。新型コロナで国や自治体の補助金が手厚くなったが、「売上高の減少を前提にしている補助金が多く、恩恵は少なかった」(粕谷社長)という。

20年3月期の最終損益は4900万円の赤字で、赤字は2期連続。保有する有価証券の売却や銀行からの借り入れで辛うじてしのいでいる。今年2月には業績不振を理由に、株主から臨時株主総会の招集と役員解任の請求があった。

会社側は反対の構えを見せたが、可決の見込みとなり前社長らは5月に辞任。新たに推挙されたのが、元三井化学で化学製品を手掛け、リサイクル会社の役員経験もある粕谷社長だった。

21年3月期は1500万円の最終黒字を見込む。ただ、今村証券調査課の近藤浩之氏は「増資は返済期限がないメリットがあるが、株主の目は一層厳しくなる」と指摘する。新事業を軌道に乗せ、経営再建のきっかけをつかめるか。注目が集まる。   (前田悠太)

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