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待遇格差是正、最適解探る 企業の競争力向上に不可欠

(更新)
最高裁の判決を受け、笑顔を見せる原告団(15日、最高裁前)

非正規の待遇格差が争われた計5件の訴訟で、最高裁の判断が出そろった。手当や休暇の格差を不合理だとした一方、賞与と退職金は一定の格差を容認する結論となった。正規と非正規を合理的に包摂した待遇体系は、競争力のある人材確保に不可欠だ。企業は今回の判決も参考に、引き続き格差是正に取り組むことが求められる。

15日は郵便局で集配業務などを担当する契約社員らが格差是正を求めた3件の訴訟について、最高裁の判断がまとめて示された。

第1小法廷(山口厚裁判長)は上告審の対象となった日本郵便の計5種類の手当・休暇制度について、その趣旨や性格を個別に分析。格差が妥当かどうかを審理した。

多忙を極める年賀状シーズンの年末年始勤務手当では、判決は「最繁忙期の休日に働いたことが支給条件で、趣旨は契約社員にも当てはまる」と指摘した。扶養手当も「生活設計をしやすくして継続的な雇用を確保する目的がある」とし、契約社員でも勤務の継続が見込まれるなら対象になると判断した。

結局、5種類の手当・休暇の全てについて、労働契約法旧20条(同条はパートタイム・有期雇用労働法に移管)が禁じる「不合理な待遇格差」があったと認定。非正規側の主張が全面的に認められた。

一方、これに先立つ13日に判決が言い渡された賞与と退職金を巡る訴訟では、第3小法廷が待遇格差を容認する判断を示し、手当・休暇とは異なる結論となった。

13日の判決は、正規従業員への賞与や退職金の支給には「正社員としての職務を遂行できる人材の確保や定着を図る目的」が含まれると位置付けた。正規と非正規では業務の難易度や責任に差があるとの経営側の主張に沿ったものだ。

林景一裁判官は補足意見を付け「退職金は原資を長期間積み立てる必要があり、そのあり方は社会経済情勢や使用者の経営状況にも左右される。使用者の裁量判断を尊重する余地は比較的大きい」と指摘。退職金は支給目的などが複合的で、誰にどう支払うかの制度設計も企業側の裁量が大きいとの見方を示した。

同一労働同一賃金を推進する厚生労働省は、企業向けのガイドラインを設けてルールの徹底を求めている。ただ個別具体的にどこまで格差を是正すればいいのかは不明確で、企業の現場にはなお戸惑いが根強い。

今回の一連の判決は個別事案に即したものとはいえ、司法判断の積み重ねとしてガイドラインを補完し、企業の判断の参考になりそうだ。同志社大の土田道夫教授(労働法)は「個別の賃金・休暇制度の趣旨を重視して、不合理な格差かどうかを検討する枠組みを示した」と評価する。

その上で「企業側は非正規従業員に納得がいく説明をすることが一層求められる。企業は、正社員側と非正規従業員側の双方と対話に基づく制度の見直しを重ね、不合理さが生じる余地を減らす努力が欠かせない」と指摘する。人材を確保し競争力を高めるためにも、企業は引き続き、合理的説明のつく待遇体系を整えることが求められる。

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