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存続の危機 援助求め奔走 苦境の在阪4楽団(下)

文化の風

財政基盤の弱かった楽団が新型コロナウイルス禍でさらなる苦境にあえいでいる。日本センチュリー交響楽団は毎年の収入不足を補ってきた財源が底をつき、スポンサー探しが切迫する。2年前から赤字が続く大阪交響楽団はコスト削減策が限界の域に達している。

枯渇する財源

日本センチュリーが8月29~30日に服部緑地野外音楽堂(大阪府豊中市)で開催した星空ファミリーコンサート。タクトを振ったのは佐渡裕だった。ベルリン・フィルの指揮経験もある佐渡の同コンサートへの出演は異例。佐渡は「若い頃、指揮者としてたくさん経験を積ませてくれた。その恩返しだ」と語り、自ら阪神タイガースのユニホームを着てアンコールを指揮するサービスぶりでコンサートを盛り上げた。

星空ファミリーコンサートは25回目となる今年、初めて開催費用500万円をクラウドファンディングで賄った。地元との貴重な交流の場である一方、入場料は無料で「経費は持ちだし、人件費も出ない」(望月正樹専務理事)。コロナ以前から計画していた資金調達だった。ところが、そこに予定外の新型コロナの流行が重なり、日本センチュリーは立て続けに10月中旬から楽団運営資金に充てるクラウドファンディングも始めることとなった。

資金調達の「最後の手段」(同)がコロナで重複した。結果、ファンには立て続けに二重の寄付を求める形となる。「コロナ禍だからこそ共感がもらえる側面もあり、時期をずらすことはできない」(同)とはいえ、寄付者がどこまで応えてくれるかは未知数だ。

財源枯渇はコロナ前から頭の痛い問題だった。日本センチュリーはもともと大阪府の楽団として発足、府の財政再建の一環で2011年に独立した。府から引き継いだ基本財産20億円を毎年数億円ずつ取り崩してきたが、それが今年度で尽きる。目下急務となるのがスポンサー探しだ。「援助額の大きい1社に頼るのではなく、1000万円規模の複数社の援助を得たい」(日本センチュリー)として、企業回りを急ぐ。

コスト削減の余地の乏しい楽団もある。大響は18年度に赤字に転落、以後赤字の定期演奏会を年11回から8回に削減したりプログラムのページ数を半分に減らしたりといったコスト削減策を講じてきた。それが奏功し、今年3月末には単年度の収支をトントンに持ち込むはずだったが、新型コロナの流行で赤字幅はさらに拡大。「これ以上絞るところがない」(赤穂正秀常務理事)。支援企業のまなざしも厳しく、法人会員4~5社からは「会員をやめたい」との声も聞こえているという。大響は財政難で過去強制解散したことがあるだけに、切迫感は強い。

オーケストラは存続に自治体や企業からの支援が不可欠だ。演奏収入は全体の6~8割程度で、残りは補助金や企業からの支援、寄付などで賄う。自治体や企業の援助の基盤はコロナ以前から先細りしていたが、今後さらに厳しくなりそうだ。

裾野拡大へ連携

「在阪オケは日本で最も厳しい」と大阪の楽団関係者は口をそろえる。チケット代は東京より安く、半面会場費は高い。クラシック人口が東京に一極集中するなか、大阪1都市の限られた需要を4つのオーケストラで分け合っている。大阪では06年に経済界から4楽団統合案が提唱され、「大阪に4つも楽団は必要か」と議論が起こった。だからこそ近年、4楽団は連携してクラシック人口の裾野拡大に注力してきた。

縮小均衡の未来への危機感を4楽団は共有している。長い目で見ればクラシック人口の拡大なしに危機は乗り切れない。とはいえ目先の危機は待ったなし。中長期の戦略を立てづらい状況のなか、楽団は難しいかじ取りを迫られている。

(山本紗世)

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