バルミューダ、自在に操作できる掃除機を発売

新興家電メーカーのバルミューダ(東京都武蔵野市)は15日、掃除機市場に参入すると発表した。前後左右に自在に操作できる掃除機を11月中旬から販売する。これまで調理家電を中心に製品を発売してきた同社にとって初めての掃除機となる。独自の機能を訴求して、ダイソンなど海外勢が存在感を放つ掃除機市場でシェアを獲得していきたい考えだ。
「そろそろ次の商品ジャンルを開拓しなくてはならない」。都内で開かれた新製品発表会で登壇した創業者の寺尾玄社長は掃除機市場に参入した意図をこう語った。
今回発表したのは掃除機「BALMUDA The Cleaner」。既存の掃除機は可動域が狭く使いにくいという点に着目して製品開発を進めてきた。新製品は吸引部であるクリーナーヘッドのブラシの構造を工夫し、両端に小型のキャスターも装着した。前後左右や斜めなど自在に操作できるようにした。ヘッド部分も360度動かせるようにして掃除機の操作性を高めた。
同日から予約の受け付けを始めた。価格は税抜き5万4000円で、11月17日から同社のオンラインストアや家電量販店などで発売する予定という。今後は新たな種類の掃除機の展開も視野に入れる。数年のうちに掃除機で100億円の売上高を目指す。
バルミューダはこれまでスチーム機能を持った高級トースターなど独自の機能を追加した製品や家具に調和したデザインが特徴で、調理家電を中心に売り上げを伸ばしてきた。寺尾社長は「ごみを取れるのは当たり前だ。掃除体験がどうあるべきかを考えて開発した」と語る。掃除機でも独自の機能とデザインを強みに製品を投入し需要を取り込む。
国内の掃除機市場ではダイソンなど1つの機能を突き詰めた製品を持つ海外勢が存在感を持つ。英調査会社のユーロモニターインターナショナルによると、2019年にはダイソンのシェアが17%とパナソニックに次ぐ2位に付ける。ロボット型掃除機でも米アイロボットが5割以上のシェアを握る。
バルミューダはこれまで成長を支えてきた独自の機能とデザインをてこに海外勢の牙城を崩せるのか。同社の参入は海外勢に劣後してシェアを奪われつつある他の日本勢にとっても大きな影響を与えそうだ。(菅野気宇)