TSMCの7~9月、売上高・純利益ともに過去最高

【台北=中村裕】台湾積体電路製造(TSMC)が15日発表した2020年7~9月期決算は、売上高が前年同期比22%増の3564億台湾ドル(約1兆3千億円)、純利益は同36%増の1373億台湾ドルと、いずれも四半期ベースで過去最高となった。米国による制裁強化を前に華為技術(ファーウェイ)からの駆け込み受注が膨らんだ。
魏哲家・最高経営責任者(CEO)は、同日開いたオンラインでの記者会見で、次世代通信規格「5G」対応のスマホ需要を中心に、今後も好調な受注環境が続くとの見通しを示した。そのうえで「(20年12月期の)通期の売上高は前期比で30%の成長が見込める」と語った。
ファーウェイへの米制裁問題について、一部の半導体で、米国からファーウェイ向けに輸出許可を取得したようだとの報道については「我々は法令を順守するだけ。コメントはしない。ただし10~12月期はファーウェイからの売り上げは完全に無くなる」と述べた。
7~9月期は、ファーウェイのほか、最大顧客のアップルからの受注も膨らんだ。特に、10月に発売が始まる新型iPhone向けの最先端の半導体の出荷が順調で、利益を押し上げた。

新型コロナウイルスの影響でパソコン需要が膨らんだ結果、世界中でデータ通信量が増え、サーバー向けの高性能半導体の需要が膨らんだことも業績を押し上げた。
今後も好調は持続する見通し。魏CEOは、主な理由に「5Gやサーバー向けの引き合いが強い」ことを挙げた。
TSMCにはもともと、ファーウェイ向けに全体の約15%に当たる約6千億円の売り上げがあったとされる。米国による制裁で、9月中旬から同社への出荷ができなくなったが、現状はその落ち込みを大きく上回る受注を抱えている。
アップル向けの出荷の好調が続くほか、米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)や米クアルコムなど世界の半導体大手からの受注が殺到している。
10~12月期の売上高は前年同期比で19~22%増に当たる、124億~127億ドル(約1兆3000億円~1兆3400億円)と予測した。
15日の終値は前日比1.31%安の453台湾ドル。株価は年初比で約34%上昇し、時価総額は約43兆円となっている。