北洋銀行、すすきのの拠点を廃止、問われる顧客対応力

2020/10/15 14:04
保存
共有
印刷
その他

60年続いたすすきの支店は姿を消す(札幌市)

60年続いたすすきの支店は姿を消す(札幌市)

北洋銀行が店舗網の集約を進めている。16日を最後に札幌市内の繁華街、すすきのにある「すすきの支店」を近隣支店内に移転し、60年続いたすすきのの拠点を廃止する。新型コロナウイルス禍で経営環境が厳しくなる取引先と、地域に足場を失う同行がどう向き合うかが課題になる。

9日午後2時すぎ、すすきのの「ラーメン横丁」の向かいの同支店は混雑していた。周辺飲食店の従業員らが次々と来店し、窓口で入金手続きを済ませたり、両替機で釣り銭用の硬貨を大量に受け取ったりしていた。谷範裕支店長は「午後3時の閉店が近づくにつれて店内が混むのはすすきのならでは」と話す。

同支店は地下鉄で1駅隣の大通公園沿いにある「札幌南支店内」に移転する。店舗名を残しつつ、別の支店と建物を統合する「店舗内店舗」方式のため、口座保有者は口座の支店名や番号を変える必要がない。すすきの支店の取引先も移転先で継続して支援する。

ただ、すすきの地区には拠点がなくなる。近所の飲食店で働く男性従業員は「ほぼ毎日、営業開始前に両替しに来ていた。移転先は遠くて不便」とこぼす。

すすきの支店は北洋銀の前身の旧北洋相互銀行が1960年に開設。すすきのが北海道随一の繁華街に成長する歴史とともに歩み、71年には道内金融機関としては珍しい「夜間営業」を実施。午後3時以降も店を開け、午後7時まで顧客に対応した。北洋銀の100周年記念誌によると、午後3~7時の延長時間だけで1日平均約400人が訪れたという。

すすきの支店には飲食店従業員らが多く訪れる(9日、札幌市)

すすきの支店には飲食店従業員らが多く訪れる(9日、札幌市)

取引先に不動産と飲食の業者が多い同支店の収支は黒字だ。にもかかわらず、すすきのの拠点をなくすのはなぜか。

北洋銀は近年、店舗網の再構築を強化している。超低金利環境が長引き、人口減が進む中で経費を圧縮し、店舗の運営効率を高めるのが狙いだ。

2023年度までの中期経営計画では162支店(20年3月時点)を約20店減らして140店前後にする方針を掲げる。地域に1店しかない支店は移転しにくいが、都市部のように近隣に店舗があれば代替できる。

現金需要の減少も理由の一つだ。すすきのはピーク時に飲食店だけで5000店を超えたとされるが、現在は約3800店に縮小。キャッシュレス決済の普及で釣り銭用の硬貨を用意しなくて済む飲食店も増えた。

すすきの観光協会(札幌市)の大島昌充会長は「観光地であり、歓楽街であるすすきのに拠点がなくなるのは残念だ」としながらも、「すすきのでもキャッシュレス化は進む。金融機関を利用しない業者も多い」と理解を示す。

コロナ禍などを背景に、すすきのでは6~8月に約300店が営業を休止するなど経営が苦しい店が増えている。北洋銀は効率的な人繰りなどを通じ、運転資金の充足や事業再生の支援など取引先と寄り添う姿勢を一段と強めることが求められている。

(塩崎健太郎)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]