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自由のパラドックス 「パクスなき世界」を考える

「Pax(パクス)」――。古代ローマの人々は平和と秩序の女神をこう呼びました。20世紀は「パクス・アメリカーナ(米国による平和)」の時代だったといえます。米国が旧ソ連との冷戦に勝利し、民主主義と自由主義経済による繁栄が続くとの見方が世界に広がりました。

それから30年余り。大衆迎合主義(ポピュリズム)や強権主義が世界で勢いづき、民主主義の後退を指摘する声は珍しくなくなりました。冷戦下に自由を希求した国々が強権体制に傾くパラドックス(逆説)が広がり、新型コロナウイルスの世界的流行が格差や対立、不信や矛盾をあぶり出しています。

連載「パクスなき世界」の第2部では、自由と民主主義の未来をみなさんとともに考える機会にしたいと思います。



■連載記事一覧

(1)民主主義、少数派に 豊かさ描けず危機増幅

民主主義の国・地域が18年ぶりに非民主主義の勢力を下回った2019年。「民主化すれば豊かになれる」との夢がかなわない国も。低成長と富の集中。民主主義の動揺を強権国家は見逃さない。

あなたにとって民主主義は守るに値しませんか――。



(2)沈下する中間層 不安のマグマ、世界揺らす

大多数がそこそこに満足する中流階級の存在は各国の自由と繁栄の礎だった。政治的には穏健な中道層と重なり、世論が極端に振れるのを防いできた。富の集中や経済のデジタル化は、そんな社会の安定装置を崩した。

今の自由は豊かさにつながっていますか――。



(3)異次元債務に市場沈黙 カネ余りが促す大衆迎合

異次元の領域に膨らむ政府の借金。金利上昇やインフレといった信号でブレーキ役を果たすはずの市場はカネ余りにまひしてしまった。民主主義の衰えと相まって世界に矛盾を広げる悪循環を生み出している。

何を物差しに、政府の政策が適切かどうかを判断しますか――。



(4)国民守る国家の姿 コロナに揺れる「安心網」

国民の自由を顧みずコロナを封じ込めた中国と、その監視技術や統制手法に魅力を感じる強権国家。自由も尊重せざるを得ない民主主義国家が劣勢にみえる面もあるが、民意を反映しない強権体制は危うさを抱える。

自由な国家は国民を守れると信じますか――。



(5)技術は「鋭すぎる利器」か 情報氾濫、深まる分断

冷戦終結で民主化の波が押し寄せ、インターネットで世界中の個人がつながり始めた。誰もが自由に意見を交わし、民主主義は深化するはずだった。しかしデジタル技術は誤った情報も増幅し、民意の分断を招いている。

テクノロジーは民主主義を守ると思いますか――。



《対論》民主主義、再生の道は 岩間陽子氏・室橋祐貴氏

「コロナ危機は欧州の没落を早める気がしている」「日本では政治に正解を求める『正解主義』が強すぎる」。世界で綻びや衰えが目立つ民主主義。政策研究大学院大学の岩間陽子教授と日本若者協議会の室橋祐貴代表理事に意見をぶつけてもらった。



■関連インタビュー

米中対立、民主主義の未来決める ラリー・ダイアモンド氏(米フーバー研究所シニア・フェロー)



台湾、情報公開を民主主義の武器に 林飛帆氏(民主進歩党副秘書長)



財政政策への不信、民主主義の前提を毀損 クローディア・サーム氏(元FRBエコノミスト)



テクノロジー活用で民主主義を身近に 栗本拓幸氏(Liquitous CEO)



民主主義の行方、大統領選が大きく左右 ヤシャ・モンク氏(米ジョンズ・ホプキンス大准教授)



民主主義脅かす「シャープパワー」拡大 市原麻衣子氏(一橋大准教授)



米の分断深めた議会政治の変質 中林美恵子氏(早大教授)



成熟した民主主義、国全体の利益に 村中璃子氏(独ベルンハルト・ノホト熱帯医学研究所研究員)



民主主義、多数決だけじゃない選択肢 安昌浩氏(ALIS CEO)



民主主義なき経済成長、強権に向かう 平野克己氏(ジェトロアジア経済研究所の平野克己上席主任調査研究員)



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