米国務省、アリババ系金融アント制裁へ ロイター報道

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2020/10/15 6:21 (2020/10/15 6:48更新)
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スマホ決済サービス「アリペイ」を手がけるアント・グループへの米国の制裁が実現すれば利用者にも影響が及びそうだ=ロイター

スマホ決済サービス「アリペイ」を手がけるアント・グループへの米国の制裁が実現すれば利用者にも影響が及びそうだ=ロイター

【ニューヨーク=白岩ひおな】米国務省は、中国アリババ集団傘下の金融会社アント・グループを事実上の禁輸リストにあたる「エンティティー・リスト」に追加する提案をトランプ政権に提出した。決済サービスのデータ流出に安全保障上の懸念があるという。ロイター通信が14日報じた。

アントはスマートフォン決済サービス「アリペイ」を手がけ、決済からローン、保険、資産管理までのサービスを提供する。世界で10億人が利用し、米国内でも400万人以上の利用者がいるとみられる。上海と香港の証券取引所に新規株式公開(IPO)を目指しており、調達額は最大で350億ドル(約3兆6700億円)と過去最大になる見通しだ。

ロイター通信は「政権の中国強硬派が、米国の投資家にIPOへの参加を思いとどまらせるメッセージを送っている」とし、対中圧力がIPOに影響を及ぼす可能性を指摘する。米政権はアリペイを通じた米国市民の決済関連データが中国政府に渡ることや、株式を購入する米国の投資家が損害を被る可能性を警戒しているという。

電子商取引の巨人アリババが株式の33%を保有するフィンテック部門への制裁の影響は未知数だ。ただ、実現すれば米国に住む中国人の日々の決済や米国に拠点を持つ企業の商取引などに支障が出る懸念がある。

トランプ政権はハイテク産業から市民に普及しているスマートフォン向けのアプリまで、中国企業の排除を相次いで進めてきた。11月3日に大統領選を控えるなか、対中圧力を一段と強化し、党内の強硬派や有権者にアピールする思惑も見え隠れする。

2019年5月にはイランとの金融取引への関与を理由に中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)をリストに追加した。米国製の部材やソフト、米国製の製造装置を使った半導体などの事実上の禁輸措置で締め付けを強めてきた。18年4月から7年間、米企業との取引を禁じられた中興通訊(ZTE)の例では、半導体を調達できず経営危機に陥った。

個人利用者に影響の大きいアプリをめぐっては、8月にはトランプ大統領が動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」や騰訊控股(テンセント)の対話アプリ「ウィーチャット」の利用を実質的に禁じる大統領令に署名した。ただ、表現の自由を侵害しているとの訴えが相次ぎ、配信停止直前で連邦地裁が差し止め命令を出した。

中国は一連の米国の制裁に対抗して禁輸企業リストの作成などを含む新法の輸出管理法案を検討しており、企業をめぐる米中の応酬が再び激しさを増しそうだ。

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