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携帯値下げ、菅政権とせめぎ合い 3社「圧力すごい」

(更新)

NTTドコモKDDIソフトバンクの国内携帯大手3社は14日、米アップルの新型「iPhone12」シリーズを23日から順次、発売すると発表した。人気商品の発表に世間は盛り上がるが3社には懸念が募る。料金値下げを求める菅義偉政権とのせめぎ合いは始まったばかりだからだ。

「事業者間で競争がしっかり働く仕組みをさらに徹底したい」。首相は就任前の9月2日、自民党総裁選への出馬表明時に強調した。官房長官時代の2018年に表明していた料金値下げを目玉政策に据えた。

官房長官時代の発言はデータ容量30ギガ(ギガは10億)バイト以上の大容量プランで月額7000円台までの引き下げにとどまった。大手3社の値下げまで約1年かかった。

首相になった今回は早い。16日の政権発足1カ月を前に、3社とも引き下げ方針を示している。「携帯電話は家計の負担減につながります。大臣自らやってください」。首相は総務相に任命した武田良太氏にこう指示していた。武田氏は首相が信頼する自民党の二階俊博幹事長の側近で突破力にも定評がある。

9月下旬に首相は「あとは向こうが料金を示すだけだ。大容量プランで月5000円以下にしたい」と周囲に話していた。かつて「4割値下げ」に言及しており月5000円以下ならその目標を達成できるからだ。

一方の3社は当初、慎重だった。10月下旬以降に20年4~9月期の決算発表がある。NTTによるドコモ株のTOB(株式公開買い付け)が終わるのは11月だ。3社は株式市場への影響などを口実に値下げ判断は「年末まで」と想定していた。

政権側は許さなかった。首相は10月26日には就任後初の臨時国会を迎え、実績を示したい。消費者が注目するiPhone12の発売が10月下旬になる日程も分かっていた。節目までに方針を示すよう3社に水面下で迫った。「政府の圧力がすごい」。すぐ3社から悲鳴が上がるようになった。

10月2日。首相は与党幹部に「まずは実績を出したい」と話した。この日までに武田氏は総務省内の大臣室に各社幹部をそれぞれ招いた。

「公正な競争環境の整備に努めていきたい」。値下げ水準は示さず、慎重に言葉を選んだ。通信料は公定価格ではない。政治主導の値下げは「官製カルテル」と批判されかねない。直々の要請に各社は「最大限努力したい」などと答えた。各社が陥落した瞬間だった。

ある大手はiPhone12の発表にあわせた値下げ発表も検討したが間に合わなかった。各社は政権発足当初に想定した値下げ幅では不十分と考え、準備し直すことにした。料金改定に向け、システム変更に着手している。料金は総務省がまとめる基本方針などを受けて決める見通しだ。

ソフトバンクは4Gのサービスで20ギガ~30ギガバイトのデータ容量を月5000円以下にするプランを検討中だ。いまのドコモより3割低い。データ容量20ギガ~30ギガバイトは今後、利用者が増えるとみられるプランだ。KDDIも値下げ策を考える。

3社とも正式発表は先になるが臨時国会前に方向性は示した。総務省内では「新政権は臨時国会で答弁がしやすくなった」との見方が出ている。

本格的な攻防はこれからだ。まずドコモがどれだけの値下げをするか。3社のプランが出そろえば、すぐに次の値下げ圧力があるはずだ。30ギガバイト超の大容量サービスが焦点になる見通しだ。各社は他社の出方にも神経をとがらせている。

各社とも高速通信規格「5G」への投資負担は重い。日本にとっても5Gは成長戦略の中核になる。各社からは値下げと引き換えに通信網整備や国際競争を後押しする政策を求める声が出そうだ。

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5Gとは
現行の「第4世代(4G)」の最大100倍の速さの次世代通信規格。毎秒10ギガ(ギガは10億)ビットの最高速度はアナログ方式だった1980年代の第1世代の100万倍。2時間の映画を3秒でダウンロードできる。米国と韓国の通信大手が世界に先がけて商用サービスを始めた。

1Gから4Gへの進化は主に速さの向上だった。5Gは「多数同時接続」「超低遅延」という特徴が加わる。たとえば自宅で約100個の端末やセンサーを同時にネット接続できる。利用者が通信の遅れを意識することは格段に減る。

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