山口FGとマイクロソフト、地域中小のDX推進で連携
山口フィナンシャルグループ(FG)は14日、地域の中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けて日本マイクロソフトと包括連携協定を結んだ。企業がマイクロソフトの業務用ソフトなどを導入してDXに取り組むのをグループで支援し、DXから生まれるイノベーションには投資ファンドを通じて資金提供する。

協定は山口FG傘下のもみじ銀行本店で、山口FGの吉村猛会長と日本マイクロソフトの三上智子執行役員が調印した。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って非対面のビジネスが急速に拡大するなど、企業はDXへの取り組みを迫られているが、「日本の企業、特に地方の企業の取り組みは遅れている」(三上執行役員)。DXに取り組む基盤になるデータが未整備の社も多い。
そこで山口FG子会社のデータ・キュービックとマイクロソフトが共同で、業務用ソフト「マイクロソフト365」や協業アプリ「Teams(チームズ)」について地域の中小企業が導入するのを支援する。
企業への導入を促進するため、山口FGは女性社員50人の専門チームを組織した。導入後もクラウドを活用したデータ分析やデータに基づいた経営戦略の策定、DXなどについて自社の経験を基に助言していく。

また、もみじ銀行平和通出張所(広島市)にマイクロソフトのコワーキングスペース「アジュール ベース」を設け、企業経営者や起業家などのネットワーク構築を支援する。全国12カ所の「アジュール ベース」と接続し、マイクロソフトの技術支援も常時受けられる体制にする。運営はデータ・キュービックが担当する。
こうしたDXからイノベーションが生まれ、事業化に取り組むスタートアップ企業が出てくれば、山口FGの投資ファンドやマイクロソフトの支援プログラムなどを通じて成長を支援する。
また、もみじ銀行のほか、山口銀行、北九州銀行など山口FG傘下の3銀行は「チームズ」を利用し、法人や個人の顧客と完全に非対面の営業を始める。融資や投資信託の販売などで、最初の説明から契約まで完全に非対面で完結できるという。
法人・個人の顧客との面談は新型コロナ後の直近でも月平均約6万2000回に上る。このうち半分を非対面のウェブ面談にすれば、顧客を訪問する移動時間が不要になり、顧客との面談回数を3割以上増やせると試算している。完全非対面で契約まで完結させる取り組みは地銀では初めてという。
(谷川健三)