イスラエルとUAE、企業提携相次ぐ 国交1カ月

2020/10/14 17:00
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イスラエルに入港したUAEからの貨物船(12日、ハイファ港)=ロイター

イスラエルに入港したUAEからの貨物船(12日、ハイファ港)=ロイター

【カイロ=久門武史】イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の企業提携が広がっている。国交正常化から1カ月の15日を前に、投資や人工知能(AI)などを巡る合意が相次ぐ。イスラエルの技術に産油国UAEのマネーが向かう構図が鮮明だ。経済効果は500億円超との推計もある。

「医療、AI、ロボティクスなど膨大な技術への投資機会を得られる」。イスラエルのベンチャー投資大手アワクラウドと、UAEの複合企業ナブーダ・グループ傘下の投資会社が6日、協力覚書を交わした。個人がテック企業に投資する受け皿として、1億ドル(約105億円)のファンドを目指すと伝えられた。

米インテル傘下で車載向け画像処理チップ大手のモービルアイ(イスラエル)と提携したのは、UAEのドバイが拠点のハブトゥール・グループだ。9月下旬の発表で、ドバイで2021年に自動運転車の走行試験を始め、23年に「ロボタクシー」を始めるとした。

「UAE産業界との対話で繰り返し出てくる言葉が『テクノロジー』。未来の両国関係を理解するカギだ」。イスラエルの中東経済専門家ドロン・ペスキン氏はこう指摘する。金融や農業などで「イスラエルはUAEのデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援できる」とみる。

イスラエルは研究開発費の国内総生産(GDP)比が約5%と先進国平均の倍に近く、開発競争にさらされる企業は資金ニーズが強い。UAEは石油輸出収入が潤沢で投資余力がある。1人当たりGDPは日本並みの約4万ドルと購買力も高い。海空の物流の拠点で、アラブ世界に販路を築くのにうってつけだ。

「中東で顧客がより効率的に事業をできるようにする」。ドバイの港湾運営大手DPワールドは、イスラエルのハイファ港の民営化に地元のドーバータワーグループと組んで入札する計画だ。12日にはハイファ港にUAEからの貨物船が初めて入港した。貿易が一段と活発になりそうだ。

両国のダイヤモンド取引所が情報交換や展示会で協力するという異色の合意も実現した。イスラエルはかつてダイヤ研磨の世界的な拠点として知られ、今も宝飾品需要の強いドバイとともに取引が盛んだ。

UAEのマッリ経済相は9月、両国の経済協力の規模は3億~5億5千万ドルにのぼるとの試算を明らかにした。「両国は競合する必要はなく、補い合える」と強調した。イスラエル経済省はUAEへの輸出が年5億ドルに達するとはじいている。

イスラエル政府は12日の閣議で、国交正常化の合意を承認した。ネタニヤフ首相は同日、UAEアブダビ首長国のムハンマド皇太子と前週末に電話し、近く直接会談することで合意したと発表した。皇太子は「2国間の結束の強化について議論した」とツイッターに投稿した。

新型コロナウイルスの感染拡大で両国とも景気減速を余儀なくされ、イスラエルは厳しいロックダウン(都市封鎖)の真っ最中だ。往来には逆風が吹くが、両国の接近が停滞する気配はない。

国交正常化合意を発表した直後は、新型コロナウイルス対策の協力が多く、政府系機関が表に出るケースが目立っていた。協力の裾野が広がるにつれ、民間主導型の合意が着実に増えている。

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