テレワーク中も食べやすい ヒットの予感「テレワ食」
2020年下期食品ブレイク予測(3)

自宅にこもりっきりのテレワークは、とかく単調になりがち。そこで生活にリズムをつくる目的で、パソコンを操作しながらちょっとしたものを口にする人が増えている。電子レンジで作れる具だくさんカップスープ、1分練るだけのマッシュポテトなど、フレキシブルに楽しめる「テレワ食」と呼ぶべき新ジャンルが今後活況を呈しそうだ。
極太ストローで飲む具だくさんスープ

テレワ食の筆頭格が日本水産のカップ入りスープ「Suu Kamu Soup(スゥカムスープ)」だ。トマトや刻んだキャベツなど野菜が1食分入った「ミネストローネ」と、タマネギやマッシュルームが入り1食分のカルシウムを添加した「オニオンクリームスープ」の2種がある。具だくさんのため、タピオカを吸うような太いストローが付属する。電子レンジで温めたら、パソコンの横に置いておき、ちょっとずつ飲める。
この商品は、もともとのターゲットは世の中で最も多忙な立場の一つである産後の母親だった。「乳児の世話で自分の食事が中断される」「調理中に目が離せない」といった悩みを解決するため、「調理が要らない」「乳児を抱っこ中でもこぼしにくい」「食器洗いが不要」といったコンセプトで本製品を開発した。しかし、世の中の変化で「その価値は、産後の母親だけでなく、実は(コロナ禍にテレワークで働く)忙しい人々のニーズにも合う」(日本水産)ことが分かり、テレワ食としての売り込みにも今後力を注ぐ。
器もスプーンも不要で電子レンジで温めるだけでよく、カップに蓋がされているためこぼれにくい。しかも、トマトなど1食分の野菜が入ったスープとあって、まさにデスクサイドで栄養補給するのにぴったりの食品である。日本水産の公式オンラインショップで先行発売しており、10月からは全国のコンビニでも販売する。
練って作る「コロッケの中身」、ストレスも解消

湯を注ぐ粉末タイプの「じゃがネル」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)も、同様に「フレックステレワ食」にピッタリの商品だ。湯を注いでスプーンで練ると徐々に粘着度が増し、およそ1分でマッシュポテトになる、「カップ内調理」が可能なスナック感覚の簡便総菜だ。パッと作れて腹持ちし、冷めてもおいしいので、少しずつ楽しめる。練る単純作業は、ストレス解消になりそうだ。

女性受けするカップ入りご飯、カロリー控えめ

一方、「カップごはんトロリ~ズ」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)は湯を入れてかき混ぜ3分で出来上がる。「参鶏湯風」「濃厚クリーミーチーズ」「花椒香る担々」の3種がある。米粉から開発したもちもち米にとろみのある濃厚なソースが絡み、食べ応えがありながらカロリーは210~220kcal。2種の野菜も入り、ヘルシーで女性受けが良さそうだ。
ワンハンドで手も汚れないお好み焼

冷凍食品の中にもテレワーク中を狙った新商品が登場している。例えばニチレイフーズの「片手で食べられるお好み焼」は、見た目は今川焼きだが、中身はお好み焼きという今までに無い冷凍食品。既存商品である冷凍今川焼きの生地作りのノウハウを生かし、中身のあんこに当たる部分にはソース、マヨネーズ、キャベツなどの具材を複数の層に分けて入れた。電子レンジで温めるだけで、片手で食べられるお好み焼きになり、手をあまり汚さずにつまみながら食べられる。

再現しにくいカフェメニューの特別感を家庭で

日本ハムは今年、朝食やおやつ需要で売り上げが伸びたパンケーキのチルド品に続く、パンジャンルの2本目の柱として「北海道産生クリーム使用 フレンチトースト」を投入。カフェで食べるようなフレンチトーストを自家製パンで再現した。日常使いができるように6枚入りで販売。

スタンド型で、ながら食べがしやすく

「スモーキープリッツ」(江崎グリコ)は桜チップを使った本格的な薫製チーズ味と薫製ベーコン味でワンランク上のプリッツ。従来のプリッツより細く食べる音が静か。また、短いため2口で食べられる。テレビドラマなどを見ながら食べるシーンを狙ったが、スタンド型のためパソコンのそばに置いてつまむのにもぴったりだ。

キューブを口に放り込み野菜を丸ごと摂取

「ZENB VEGE BITES」(ZENB JAPAN)は野菜を食物繊維が豊富な種や皮なども含めて丸ごと乾燥させ微細化した製品。柿の果汁を混合してキューブ状の一粒サイズに押し固めた。種類はカボチャとビーツ、 ニンジンの3つで、6粒入りの1袋を食べると、1食分の野菜が補える。

野菜をしっかり取れる新感覚アイスの実

国産野菜を使ったアイスの実をコンビニ限定で発売。紫いも、かぼちゃ、とうもろこしの3種類。もともとアイスの実のパッケージには、アイスを手で触らずに食べられる工夫があり、テレワークにぴったりだ。

(ライター 高橋学)
[日経トレンディ2020年11月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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