食材にちょい足しで味が外食顔負けに ヒット食品予想
2020年下期食品ブレイク予測(2)

時短・簡便化の流れが加速していた加工食品業界に、新風が吹き始めている。おいしく調理できるのであれば、一手間かけるのをいとわないと考える消費者の需要が、コロナ禍で顕在化したからだ。テレワークが普及し、結果として通勤時間が減り以前より調理にかけられる時間が増えた影響だろう。
そんなニーズをくみ取る形で2020年後半に人気となりそうなのが、食材に足したり掛けたりするだけで外食のような味に仕立てられる「助っ人」食品だ(価格はすべて税込み)。コロナ禍で料理を作る頻度が増え、レパートリー不足の主婦は少なくない。毎回手間がかかる手料理は大変、一方で家族を喜ばせたい――。そんな悩みも解消してくれそうだ。
「しびれる」料理あれこれ、冷凍そぼろ

イチ推しが「いろいろ使える ピリ辛肉そぼろ」(ニチレイフーズ)。麻辣味があらかじめ付いた冷凍の鶏肉のそぼろで、豆板醤(トウバンジャン)と花椒(ホアジャオ)で味付けしてしびれる辛さにし、そのまま凍結。電子レンジで解凍してから料理に使えば、野菜などに絡めて調理したり最後に豆腐にちょい載せするといった使い方ができる。
そぼろはあえて小さな固まりのダマに加工し、具材感を出すとともに、料理に盛りやすくした。いつものひき肉の代わりに使えば、麻辣による「しび辛」味を足したそぼろ料理が簡単にできる便利な冷凍調味料だ。
例えばナスや大根、キャベツ、ジャガイモなどに混ぜてフライパンでいためれば、本格的な四川風料理を夕飯の食卓にさっと並べられる。本格料理に挑戦したい人、手抜きで作りたい人の両者が使える。

ひき肉の代わりに使える、魚系素材で低カロリー

日本水産の「おさかなミンチ」も便利な製品だ。こちらは白身魚(スケソウダラ)をひき肉状にしたもので、味付けこそしていないもののカロリーが豚ひき肉の約30%と低い。食塩も無添加なので、カレーやハンバーグ、パスタのソース、など、様々な料理で肉の代わりに使える。スケソウダラのたんぱく質は、卵と同じかそれ以上に体内利用効率が良いという。

一般人の秘伝レシピを再現、異国情緒のシーズニング

食材にかけて調理するシーズニング(スパイスやハーブなどのブレンド粉)にも、新顔が登場している。エスビー食品の「レッチャ! 大賞シーズニング」は、「ファヒータ」「ポリヤル」といった一般になじみは薄いが実は絶品のレシピを再現するものだ。「新しい料理に挑みたい、マンネリ化を打破したいと考える人には最適」(エスビー食品)。
実はこの商品はスパイス好きの個人からの公募を基に製品化したもの。同社初の試みとなる。約8000件の応募の中から3品が大賞に選ばれ、メキシコ料理の「ファヒータ」、フランス料理の「オレンジチキンソテー」、インド料理の「ポリヤル」を商品化した。
食材に混ぜてフライパンでいためるだけのシーズニングならではの手軽さで、ファヒータなどの異国情緒あふれる料理ができるのは刺激的な体験かもしれない。

調理中にかけるだけ、1本で味が決まる液体ダシ

和食派に注目してもらいたいのが「カンタンお料理だし」(ミツカン)だ。調理中にかけるだけで、ダシの効いた様々な料理を手軽にできる液体ダシ商品。
カツオ、ソウダカツオ、昆布、ウルメイワシ、ホタテの5種からダシを取ってブレンドし、塩味・甘みをバランスよく合わせているため、他の調味料は不要で、これ1本で味が決まる。煮物、丼物からいため物、パスタまで作れる汎用性の高さも売りだ。液色が薄いので料理の色合いもきれいに仕上がる。
「ダシのしょうゆ感が控えめで、色々なメニューに使用しても同じ味になりにくい設計」(ミツカン)のため、飽きずに使うことができる。若い世代や料理の初心者にとって、手放せない万能の液体として、広く普及する可能性が高い。

用意するのは白菜などだけ、自宅で大皿中華料理を

「中華名菜 大皿スタイル 八宝菜・酢豚」(日本ハム)は下ごしらえ済みの具材やソースがパックされており、白菜など野菜1種と一緒にいためるだけで本格中華料理ができる。コロナ禍で家族一緒に食卓を囲む機会が増えたことから、既存品を大容量化した3~4人前の大皿スタイルを新たに投入。
(ライター 高橋学)
[日経トレンディ2020年11月号の記事を再構成]
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