米イーライ・リリーのコロナ抗体薬、治験を一時中断
【ニューヨーク=野村優子】米製薬大手イーライ・リリーが開発中の新型コロナウイルス抗体薬について、臨床試験(治験)が一時中断されたことがわかった。複数の米メディアが報じ、イーライ・リリーが事実を認めた。治験の一時中断は「潜在的な安全上の懸念」が理由だったという。

今回中断されたのは、カナダのアブセレラ・バイオロジクスと共同開発するモノクローナル抗体薬「LY-CoV555」の治験。米国立衛生研究所(NIH)が主導する、新型コロナの入院患者を対象とした治験だ。イーライ・リリーは声明で「我々にとって安全が最も重要。患者の安全を確保する決定を支持する」と述べた。
同社は7日、新型コロナ患者に投与するため、米食品医薬品局(FDA)に「LY-CoV555」の緊急使用許可を申請したと発表している。
治験の中断をめぐっては、12日にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が新型コロナワクチンの最終段階の治験を一時中断したと発表したばかり。9月上旬にも、英製薬大手アストラゼネカが新型コロナワクチンの治験を中断。英国や日本では治験が再開されたが、米国ではまだ再開されていない。