タイCPが「平飼い」卵 欧米向け、ESG対応

アジアBiz
2020/10/13 18:00
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鶏が歩き回るスペースを確保したCPフーズのケージフリー農場(タイ中部サラブリ県)

鶏が歩き回るスペースを確保したCPフーズのケージフリー農場(タイ中部サラブリ県)

タイ食品大手チャロン・ポカパン(CP)フーズは「ケージフリー(平飼い)」卵の生産を増やす。鶏が自由に動き回れる環境を整え、ESG(環境・社会・統治)への対応を急ぐ欧米のスーパーや食品企業などに供給する。鶏卵産業の競争力引き上げにつながるとみてタイ政府も生産基準作りに乗り出した。

タイ中部サラブリ県。エアコンの効いた鶏舎内を鶏が自由に歩き回る。床にはおがくずが敷かれ、止まり木も用意されている。CPフーズが2018年に開いた同社初のケージフリー農場だ。

欧州の場合、ケージフリーは面積当たりの鶏の数など複数の条件で定義されるが、タイにはまだ公的な基準はない。CPフーズは1平方メートル当たり7羽までと、欧州の基準より厳しくしたという。一般的な農場では身動きできないほど多くの鶏をケージに詰め込むことが多い。

CPフーズが19年にケージフリーで生産した卵は約500万個。同社の卵の1%にすぎなかったが「今後は毎年1千万個ずつ増やす」とソムキット副社長は日本経済新聞に語った。

バンコクのあるスーパーマーケットでは普通の卵が10個50~60バーツ(170~200円)に対し、ケージフリーの卵は75バーツ。生産効率が低い分、販売価格は高く、タイでの需要はまだ限られる。

ただ、ネスレやマクドナルド、ウォルマートなど、多くの欧米企業が25年までに卵をケージフリーに絞ることを宣言している。動物愛護団体が突きつけてきた猶予期間が終わるためだ。CPフーズは売上高の7割以上が海外向けのため「世界的な潮流に対応せざるを得ない」とブアルアン証券のアナリスト、プラシット氏は指摘する。

政府も対応を後押しする。タイ農業・協同組合省は21年にもケージフリー卵の生産基準を策定する方針だ。CPフーズは「基準が導入されればタイの卵製品は、より大きな取引の機会を得るだろう」と期待する。

市場関係者はこういった対応を評価している。世界200以上の投資家が参加する英ファーム・アニマル・インベストメント・リスク・アンド・リターン(FAIRR)による、畜水産企業の持続可能性の格付けで、CPフーズはアジア企業として最高の10位(中リスク)だ。

アジア企業はこれまで、ESGの波に対応しきれず販路を失う経験もしてきた。それでもグローバル化を急ぐタイの食品企業は「ESG後進国」の殻を破ろうとしている。(バンコク=岸本まりみ)

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