お好み焼き、唐揚げ…手軽に外食の味 ヒット食品予想
2020年下期食品ブレイク予測(1)

2020年の食品業界は、かつて経験したことが無い未曽有の事態に直面した。原因は新型コロナウイルスの感染拡大だ。外出自粛や飲食店の休業要請、全国対象の緊急事態宣言などを経て、消費者の生活様式が一変。外食を控え、代わりに中食(弁当、総菜、冷凍食品など)、内食(素材を購入して家で調理したもの)を大幅に増やす動きが急速に広がった。
新型コロナウイルスと向き合うことになる「巣ごもり生活」は当面続きそうだ。ニューノーマル時代の幕開けとなる20年下半期に向けてどんな食品がヒットするのか。
日経トレンディ編集部が予測する1つ目の新潮流は、外食の味を家庭でも味わいたいという切実な願いをかなえる食品だ。
外食気分を食卓で味わいたいときは市販の「メニュー用調味料」が便利だ。素材にかけて調理するだけで料理ができる簡便さが受け、20年4~7月は前年比106%と好調だった。
電子レンジで本格チャーシューが簡単に
そうした流れを受けて、味の素が満を持して投入するのが「スチーミー 豚チャーシュー用」だ。外食では人気選手のチャーシューだが、どんな調味料を使えばいいか分からず長時間煮込む手間もかかることから家庭での出現頻度は低い。この問題を解決するもので、電子レンジを使って簡単かつレストラン級のおいしさで作れるようにした。

魅力の一つが、調味料があらかじめ入ったジッパー付きの専用パウチを独自開発し、豚の塊肉を入れるだけで完成する手軽さにある。ジッパーを閉めて電子レンジで加熱するとパウチが膨らみ、中は圧力鍋のような高温高圧状態になる仕組み。パウチの一部に蒸気吹き出し口が設けてあり、適度に蒸気を排出することでパウチの破裂を防いでいる。パウチが破れないギリギリの高い圧力を保ちながら、チャーシューを短時間で調理する工夫がある。

しょうゆ、砂糖、ショウガ、ニンニクに加えて、肉を素早く軟らかくする成分や同社が発見したコクを出す成分「グルタミルバリルグリシン」を含む調味料もポイントだ。同社の他の製品にも使われているもので、短時間の加熱でも鍋でぐつぐつ煮込んだのと同じ深い味わいを出せる。「開発に2年かかり、3000回以上テストしてようやく完成した」(味の素)という。
カップ1つで簡単お好み焼き
お好み焼き店の味を家庭で手軽に再現できる「日清 カップでつくる お好み焼セット」(日清フーズ)も注目株だ。キャベツと豚肉以外の材料がパックになっており、カップで混ぜてフライパンで焼くだけでOK。お好み焼きは、粉が床に散らばったりボウルを洗ったり何かと汚れがち。カップ1つで済む本製品なら、料理に不慣れな父親でも家族に振る舞うことは難しくない。



その他にも、人気飲食店の味などを徹底的に研究した「唐揚げ」「水ギョーザ」「キーマカレー」などの新商品も相次ぎ登場。使えば食卓が華やぎそうだ。
ザ★シリーズに唐揚げ登場、かつてない食べ応え


一般的な冷凍唐揚げに比べ1.5~2倍ほどの大サイズ。軟らかさより肉本来の弾力感を出し、味付けもニンニクをしっかり利かせ、大人の味に。食卓のおかずのメインを張れる設計にした。
ワンランク上の皮と肉汁、鍋にもラーメンにも合う

器に入れて水を注ぎ、電子レンジで加熱するだけで完成する冷凍水ギョーザ。小麦主体で厚みと弾力がある皮と、肉汁たっぷりのあんが特徴。冷凍水ギョーザは、焼きギョーザのようにフライパンで焼く手間が無く、巣ごもり中の昼食需要を捉えて伸張しそうな有望市場だ。
超粗びき肉と香辛料がガツンとインパクト

外食のトレンドである大きなひき肉のキーマカレーを再現。最大19ミリのどでかい粗びき肉をぜいたくに入れた。肉の量は40グラムと従来の同社のレトルトキーマカレーの約2倍。スパイスキーマカレーは5種の焙煎スパイスで香りを立たせ、味も本格派だ。
冷凍食品でありながらレストランの味を再現

レストラン級の本格料理を電子レンジ調理で手軽に食べられる冷凍食品の新シリーズ。ふっくらジューシーなハンバーグ、一枚肉を使った皮が香ばしいチキンステーキ、ロースの芯の部分だけを使ったロースとんかつの3品を提供する。
海外のバル気分が味わえる「魚介系おつまみ」

電子レンジで加熱するだけで、海外のバルで出すような一品になる魚介系のつまみシリーズ。パッケージのトレーを皿代わりに食卓に出せて便利。「いかバター醤油」は、食感のいいイカ耳をしょうゆで漬けて熟成し、バターを添える。
(ライター 高橋学)
[日経トレンディ2020年11月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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