「100均イヤホン」あなどるな 機能十分、売れ筋3選

「100円ショップで売っている商品がとても使いやすくなっている」――そんな話を耳にして、大創産業(広島県東広島市)が運営する100円ショップ「ダイソー(DAISO)」の都内大型店を訪ねてみた。まず驚いたのが、イヤホンが並ぶ棚の充実ぶりだ。昔ながらのモノラルイヤホンもあれば、カラフルな大きめのヘッドホンも並ぶ。価格は100~500円まで(税別、以下同)、100円ショップにいることを忘れてしまうような、機能やデザインにこだわった製品が、かれこれ10種類近くラインアップされている。
ダイソー、コードありイヤホンの売れ筋商品トップ3
そこで今回はその中から、コードのあるケーブルイヤホンについて、ダイソーから売れ筋商品を教えてもらった。売れるイヤホンの条件は大きく「音質、コストパフォーマンス、商品の見た目」(DAISO 商品本部 商品5部)の3つだという。有線の売れ筋トップ3のうち、第3位は「高音質ステレオイヤホン(マイク付、HQ-004)」(300円)だ。
「通話機能付きでリモートワークにも最適。100円では出せない音質を追求した。アルミを使用し、高級感のある商品に仕上げている」(同)と胸を張る、先の3つの条件を満たした「高音質」タイプ。3.5ミリメートルステレオミニプラグを手持ちのアダプターでiPhoneにつなぎ、音楽アプリで聴いてみた。流行のワイヤレスタイプと違い、iPhoneと直接コードでつながっているだけに安定の音質だと感じた。
ここまで大きな欠点が見当たらないので、試しに私物の1万円前後のイヤホンと、楽曲を聴き比べてみた。イヤホンのいわゆる「解像度」で考えると、総合評価はさすがに300円イヤホンの負けだと感じた。ジャズのライブ音源などは、演奏者の誰かが席を立ったかと疑いたくなるくらい、情報量が少なく感じた。一方、個人的な趣味もあるだろうが、1970年代前後のサイケなロックなどは、イヤホンの雑味がかえってマッチするのか、相性のいい楽曲も多かった。


第2位はジッパータイプ
人気イヤホン(有線)の第2位は「ステレオイヤホン(ジッパータイプ)」(100円)。ジッパータイプとあるように、ケーブルの先のほうがジッパーになっていて、デザインだけでなく、バッグに入れるときなどはファスナーを閉じておくと、絡みにくいという機能も優れている。「100円ながら、音質にもこだわった」(同)というように、ステレオ音質もなかなかのもの。オーディオマニアでない筆者の耳には、「高音質」タイプとの違いが、それほど分からなかった。


第1位はリモコン付きイヤホンマイク
そして第1位は、「リモコン付 スマートフォン イヤホンマイク」(100円)という、一見したところ、普通のケーブルありの片耳イヤホンだ。


これが1位というのは少し意外な感じがした。しかし、テレワークのテレビ会議などでも使いやすいシンプルな設計で、リモコンとマイクがケーブルの途中に付いていて、音楽の再生、停止や電話の着信応答、曲送りなどもできる。100円で必要十分な機能を備えたコストパフォーマンスの高さが評価の理由だろう。イヤホンは耳にすっぽり入るカナルタイプで、音声がくっきり聞こえるところも、仕事で使いやすいポイントとなっている。
今回、紹介した3点の製品をすべて"大人買い"しても500円。10月初めの段階で「一部を除く小型店舗でも取り扱っている」(同)とのことなので、一度100円ショップのイヤホンを試してみてはどうだろう。
(ライター 福光 恵)
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