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コロナ下経済 回復まだら 出張や会食、自粛なお続く

マスク姿で職場に向かう人たち(大阪市北区)

4月の緊急事態宣言の発令から半年がたち、経済活動も正常化に向かいつつある。新型コロナウイルスとの共存が続くものの、人出や消費なども徐々に戻ってきた。回復スピードは自動車が順調な一方で、百貨店が出遅れるなど業種や業態で濃淡も出ている。行動や接触が制限される中で、経済を平時に戻すには、業態転換など企業のニューノーマル(新常態)への適応力が問われる。

通勤時間帯の街に人が戻り始めている。NTTドコモの位置情報を基に分析した滞在人口データによると、12日午前8時台の大阪駅周辺の人の数が感染拡大前を上回った。一方、東京・大手町かいわいは平時の68%にとどまっている。

大手町は大企業の拠点が多く在宅勤務を奨励している企業が多い。対面で商談する傾向が強い中小企業が多い大阪では、新規感染者が減少傾向が鮮明となり出社する人が増えているようだ。名古屋や札幌など地方で人の戻りが鮮明だ。

ただ、3密を避ける活動は各地で続き、コロナ下での人々の行動変化は消費に影響する。

三越伊勢丹ホールディングスの9月売上高は前年の消費増税前の駆け込み需要の反動があったものの、来店者数が伸び悩み前年同月比で36%減となった。「ブランド品や高額品が堅調な一方、スーツは低調」(三越伊勢丹ホールディングス・杉江俊彦社長)

一方、ファーストリテイリングは「ユニクロ」の国内既存店の9月売上高が同10%増えた。6月から4カ月連続でプラスだ。在宅に向くストレッチ性の高い衣服が好調だ。柳井正会長兼社長は「消費者の生活の範囲が狭くなった」と指摘する。アパレルでは、安価な生活着に需要が高まり、百貨店が強みを持つ高額な衣服は低調だ。

個人消費の動向を示すナウキャスト(東京・千代田)とJCBが指数化したJCBカードの購買データをみると6月に感染拡大前の1月後半に比べ9割近くまで戻ったものの、その後頭打ちだ。7月以降の長雨や感染再拡大で、消費者心理が鈍化したという。「今後は外出傾向が強まり旅行や外食消費が伸びる一方で、けん引役だったスーパーの食品や生活家電などが伸び悩む可能性がある」(ナウキャストの辻中仁士代表取締役CEO)との見方があった。

コロナ収束が見通せず、企業は出張や会食などの支出を増やせる環境にはない。

富士通は国内の遠方への出張を原則禁止とする方針を継続している。基本オンラインで対応しており、顧客などとの面談や打ち合わせについてもビデオ会議などを推奨している。出張需要の激減で東京都内の8月ホテル稼働率は20%と低迷したままだ。

感染防止の観点から東芝は、現在も会食の原則禁止を継続している。アステラス製薬は会食を引き続き禁止している。仕事帰りの同僚との飲食機会も減り「客足は通常の7割程度しか戻らない」(居酒屋チェーン、ワタミの渡辺美樹会長)。

ただ、政府の観光・飲食の需要喚起策「Go To」効果で、外食や宿泊の一部に戻りの動きも出ている。高級ステーキハウスなどを展開するWDIではGoToイート開始に合わせグルメサイトで予約受け付けを始めた。予約数は好調で「還元ポイントを使う人が増えればさらに予約が伸びるのでは」と期待する。ホテル・旅館も高級タイプで予約回復が顕著だという。

製造業では自動車が回復に向け着実に進んでいる。トヨタ自動車は5月時点で7~9月の世界販売台数は前年同期の85%とみていたが、7~8月で同89%で推移。「想定を上回るペースで回復している」(広報部)。9月の米国販売は前年同月比16%増と急回復している。日産自動車の内田誠社長兼CEOは「遅くても21年1~3月期では世界需要は前年対比で少しプラスになる」と話す。

自動車生産・販売の回復を受け、日本製鉄は一時休止していた千葉県君津市の高炉1基と室蘭製鉄所(北海道室蘭市)の高炉も再稼働させる。雇用の裾野の広い自動車の回復速度に弾みがつけば、コロナ下の制限経済も平時への移行が早まる可能性がある。

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