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武田、コロナ薬で問われるシャイアー買収の成果

武田薬品工業などが開発中の新型コロナウイルス感染症治療薬が最終段階の臨床試験(治験)に入った。回復した患者の血液成分を使う血液製剤で、武田は2019年に6兆円超で買収したアイルランド製薬大手シャイアーの技術を活用した。新型コロナ治療薬という注目分野で大型買収の成果が問われている。

「当社が触媒の役割を果たした」。武田のクリストフ・ウェバー社長はこう述べる。9日に治験開始を発表したのは血液製剤の一種で免疫機能を高める「血漿(けっしょう)分画製剤」。武田をはじめ米大手のCSLベーリングなど13社が提携して開発を進めている。

治験を主導するのは米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)だ。米国や日本、メキシコなど18カ国で500人程度の患者が参加。国や企業の壁を越えた世界的プロジェクトとして進むが、旗振り役は武田だった。

治験のカギを握るのは回復した患者からの血液由来成分の採取。武田などは専用ホームページで全世界の患者に協力を呼びかけた。治験開始は当初予定の夏ごろからずれ込んだが、「レムデシビルなどの抗ウイルス薬を補完する役割」(ウェバー社長)が見込まれる。

武田はシャイアー買収によって血漿分画製剤でCSLベーリング、スペイン・グリフォルスに並ぶ世界3強に名乗りをあげた。英調査会社エバリュエートは血漿分画製剤の世界市場規模が19年の179億ドル(約1兆9000億円)から26年には291億ドルに成長すると予測する。感染症だけでなく免疫機能不全によって生じる病気にも使われる。血液成分を使うことから、通常の医薬品のように後発薬に追随される恐れも少ないという。

武田の血漿分画製剤は現在、売上高の1割程度を占める。重点分野と位置付け、血液成分を収集するセンターは買収後に順次拡充している。治験薬の生産を担う米ジョージア州の工場は生産能力増強も検討している。

ただ3強といいながら「シャイアーは他の2社の後じんを拝していた」(国内アナリスト)。エバリュエートによる19年の血漿分画製剤の売上高予測ランキングでもベストテンに2品目しか入っていない。

コロナ向け血漿分画製剤の今後の収益面への寄与も不明だ。現在は採算よりも危機対応を優先している面もある。ただし成功すれば世界が注目するのは間違いない。買収の成果を市場や株主に目に見える形でアピールする絶好の機会となる。武田が治験にかける期待は熱い。

(高城裕太)

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