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カキ殻から除菌剤 広島の新まるせ工事、コロナで需要

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道路舗装の新まるせ工事(広島市)は、カキの貝殻を原材料にした除菌剤「カキララ」を手掛ける。足かけ5年で開発し、今年3月から販売を始めた。発売時は折しも新型コロナウイルスの感染が広がり始めたころ。消毒や除菌の需要は高く、引き合いは今も強い。カキの名産地ならではの商品はコロナ禍で県内外から注目を集めている。

除菌剤「カキララ」のボトルデザインには大学生も関わった

カキララはカキ殻を1200度で熱し、粉状にした原料を水に溶かしてできたもの。アルカリ性で除菌効果が強く、アルコールや界面活性剤を使っていないため手肌にも優しい。広島県環境保健協会が実施した殺菌試験では、大腸菌にカキララを添加したところ除菌率は99.9%となった。400ミリリットルのスプレータイプは1本1100円で、発売から約2カ月で3000本を売り上げた。

もともとは社内で使うものとして開発に乗り出した。道路舗装で使用する重機の油汚れをとる洗浄剤の原液は価格が高く、同じアルカリ性の別の液体で薄められないかと5年前に検討を始めた。

他地域でホタテガイの貝殻をもとにした希釈液を発見し、「水産業者が処分に困っているカキ殻でも同じことができるのでは」(土村学社長)との着想を得た。県立広島大学でリサイクル技術や環境材料が専門の西村和之教授のもとを訪れ、産学連携に踏み出した。

ペーハー(pH)値などを解析する過程で分かったのは、カキ殻をもとにした液体そのものが強いアルカリ性で除菌効果があることだった。「天然素材という特徴はウリになる」と判断した土村社長は、商品化に向けた試作に取りかかった。

ただ、1972年創業で売り上げ規模が3億円の同社にとって、建設分野ではない新商品の開発は難航した。設備導入や品質管理などハードルは多く「本業と並行するのは大変だった」(土村社長)。広島市などの助成金も活用しつつ、自前で1500万円を投資。何とか生産体制を整えた。

ボトルデザインでは、安田女子大学(広島市)の学生にも関わってもらった。ボトルの形状はカキ殻をイメージしてつくり、ラベルには波の絵柄をあしらった。

コロナ禍のタイミングで偶然世に出せた。インターネット販売が中心だが、一時期は生産が追いつかないほど。「まずは地産地消を」と話す土村社長は、県内の幼稚園や老人ホームなどへの普及を目指す。除菌のニーズは今後も当面は続くとみて、生産能力の底上げも狙う。

カキ殻を肥料や土壌改良材として活用する例はあるが、除菌剤として利用する例は珍しい。カキ殻や県内大学の知恵といった地域の資源が、カキララにうまく結実している。(田口翔一朗)

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