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ノーベル経済学賞に2氏 オークション理論発展に貢献

携帯電話の周波数入札にも応用

(更新)
ポール・ミルグロム氏(写真左)とロバート・ウィルソン氏=米スタンフォード大ホームページより

スウェーデン王立科学アカデミーは12日、2020年のノーベル経済学賞を米スタンフォード大学のポール・ミルグロム教授(72)とロバート・ウィルソン名誉教授(83)の2氏に授与すると発表した。授賞理由は「オークション(競売)理論の発展への貢献」。賞金は1千万スウェーデンクローナ(約1億2千万円)を分け合う。

単純競り上げ式以外に注目

美術品などの入札に用いられるオークションは複数の応札者が値段をつり上げ、最高価格を提示した人が財を落札する方式で知られる。ミルグロム氏らはオークションの手法がこのような単純な競り上げ式以外にも数多くあることに注目した。

例えば参加者が価格を隠して応札し、最高価格を提示した応札者が、上から2番目に高い入札価格で財を買い取る「第2価格方式」。単純な競り上げ式だと、最高価格の提示者は2番目より高すぎる値段を提示することで受ける損失を気にしてしまう。結果として本来思い描く価格より低い値段を示すなど、入札に不透明な要素ができる。

一方、第2価格方式なら自らが提示した最高価格が高すぎても、2番目に高い入札価格で財を買い取ることができる。このため正直な価格提示が可能となり、入札から不透明なギャンブル性も取り除ける。

「勝者の呪い」定式化

オークションで高すぎる価格を提示して被る損失は「勝者の呪い」といわれ、ウィルソン氏が定式化した。一方、ミルグロム氏は売り手と買い手がそれぞれ商品に対する主観的な評価を持つ中で、どのような方式をとれば入札が双方にとって満足できるものになるかを理論化した。

理論は現実にも用いられている。1994年、米連邦通信委員会(FCC)は携帯電話の電波利用権を入札にかけ、当時70億ドル(現在の物価だと1兆円超)もの収入を得た。このときの入札で用いられた「周波数オークション」は世界各地で応用され、携帯事業への参入促進と国庫収入の確保を同時にもたらした。

周波数オークションでは電波の帯域や適用される地域など、多くの種類の免許があり、条件は複雑だ。そこでミルグロム氏は「同時競り上げ式オークション」と呼ばれる方式を考案した。それぞれの免許の入札を同時に始め、すべての入札が終わるまではどの入札もやめない方式だ。ある免許で脱落した買い手がいても、途中で別の免許の入札に乗り換えられるため、最も効率的に高値で買い取る事業者を見つけられる。

慶応義塾大学の坂井豊貴教授は「オークションのビジネスや政策への応用にとどまらず、経済学が全体として実用重視に向かう基礎を築いた」と功績を評価する。2氏が理論的な基礎をつくったオークションは、日本でも不動産など様々な分野で応用されている。

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