/

9月の工作機械受注、海外向けが2年ぶりプラス

中国がけん引 半導体向けなど裾野広く

工作機械の需要が回復してきた。9月の受注額は前年同月比15%減となり、減少幅は8月の23%減から縮小した。特に海外向けは、コロナ禍から経済がいち早く回復する中国がけん引し、2年ぶりにプラスに転じた。中国向けで目立つのが政府が国産化に動く半導体や生活水準の向上をうけた医療関連。自動車向けが支えてきた従来の構造に変化の兆しが出ている。

海外向けの工作機械受注が24カ月ぶりに対前年プラスに転じた(国内大手の工場)

日本工作機械工業会が12日発表した9月の受注額は841億円だった。内訳をみると国内向けが34.3%減と22カ月連続で前年を下回る一方、海外は1.8%増えた。

「4~6月を底に霧が晴れて来た」。工作機械大手、DMG森精機の森雅彦社長は中国などからの受注回復に手応えを感じる。同国天津市の工場は既にフル稼働という。

好調なのが半導体製造装置に使う部品やポンプを加工する工作機械。次世代通信規格「5G」の実用化や世界的なテレワークの増大により、通信用サーバーで使う半導体などの需要が増えている。

中国で6月ごろまで目立っていたのが、日系メーカーを中心とした自動車関連の引き合いだった。その裾野が半導体製造や航空、医療など幅広い業界に広がりつつある。

シチズンマシナリーは2021年に中国山東省に新工場を設け、現地での月産能力を350台とほぼ倍増する。主力は人工歯の材料などを削る機械だ。高齢化が進む地域で需要が伸びている。

コロナ後を見据えた動きも需要回復を後押しする。オークマでは中国からの受注額が前年同月を超えている。建機やインフラ用に加え、足元では航空エンジンの部品加工に使う機械の商談も動き出した。世界的に航空需要が冷え込むなか「加工の難易度を高め、勝ち残ろうとする意欲が強い」(家城淳社長)。

中国向けは今後、ハイテク分野の主導が鮮明になりそうだ。中国政府はハイテク産業の振興策「中国製造2025」を打ち出す。さらに米政府による中国の半導体関連企業への制裁強化には、中国企業は国産化で対抗しようとしている。

こうした動きを捉え、日本の工作機械各社は中国事業を強化する。ウエハー接合を手掛けるDプロセス(神奈川県大和市)とウエハー接合機械の三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)は連携し、中国企業からの受託生産を目指す。

ハイテク産業がけん引する中国の回復は、長期的に日本の工作機械業界の稼ぎ方を変える可能性もある。日本の工作機械の製造業向け受注のうち、自動車関連は20年1~8月では約24%と、15年と比べ約10ポイント減った。一方「電子・精密分野」は約1割で安定している。日工会の飯村幸生会長は「自動車業界の投資先が機器からソフトに移行している」とみる。ガソリン車より部品数が少ない電気自動車が普及すれば、車向けの比率はさらに下がりかねない。

三菱総合研究所の小橋渉・主席研究員は「自動車会社との結びつきが競争力の源泉だった日本の工作機械各社は長期的には構造変革を迫られる可能性もある」と指摘する。

すべての記事が読み放題
まずは無料体験(初回1カ月)

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン