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大阪の成長戦略や財政で論戦 都構想、各党訴え本格化

街頭演説する(左から)大阪維新の会の松井一郎代表、公明党の佐藤茂樹大阪府本部代表、自民党の北野妙子大阪市議団幹事長、共産党の山中智子大阪市議団団長(12日、大阪市)

「大阪都構想」の是非を問う2度目の住民投票が告示された12日、各党は大阪の成長戦略や特別区の財政など有権者への訴えを本格化させた。

都構想実現を政策の「一丁目一番地」に掲げる大阪維新の会は、公明党と合同で大阪・ミナミで第一声を上げた。

松井一郎・維新代表(大阪市長)は「住みやすく、東京と並ぶ大都市にしよう」と強調。吉村洋文・維新代表代行(大阪府知事)は近鉄大阪上本町駅(天王寺区)付近でも演説し、税収の伸びなどが記されたフリップボードを見せながら「府・市の二重行政の解消を制度として確立し、成長を実現したい」と訴えた。

2015年の前回の住民投票で反対した公明は、19年4月の知事・市長のダブル選で維新が大勝したことを受け、賛成に転換した。制度案には公明が求めた住民サービスの維持など4項目が反映された。公明大阪府本部代表の佐藤茂樹衆院議員は合同演説で「都構想の設計図は見事によいものに生まれ変わった。東京との差を縮めるには都構想が必要だ」と話した。

「追い上げムードが高まっている。一人でも多くの人に大阪市が必要だと気づいてほしい」。反対する自民党は大阪城公園(中央区)で活動を始め、北野妙子市議団幹事長らが声を張り上げた。

大阪市役所前では、19年4月の市長選で松井氏に敗れた柳本顕・元大阪市議が演説。「市のお金が府に移り、お小遣い制になる。財源がないのに豊かな行政サービスはできない」と語った。

反対派は新型コロナウイルスの感染が終息しないなかでの住民投票実施に反発している。

共産党の山中智子大阪市議団団長は地下鉄淀屋橋駅(中央区)付近に立ち、「コロナ禍で考える余裕もない中、無理やりやろうとすることに強い怒りを覚える」と語気を強めた。辰巳孝太郎前参院議員も大正区役所前で「市の権限や財源が府に吸い上げられる。市廃止を一度決めたら、元に戻せない」と強調した。

大阪都構想、かみ合った議論を 市民に重い選択
 「大阪都構想」の2度目の住民投票が12日に告示された。政令指定都市である大阪市が廃止されれば1956年に制度ができて初。今の法制度では特別区から政令市に戻る規定はなく、市民にとっては重い選択だ。賛成派、反対派のかみ合った議論が求められる。
 都構想の二本柱の一つは、府・市がバラバラにインフラ整備などを行う「二重行政」の解消だ。「広域行政の司令塔を知事に一本化し、大阪を成長させる」。推進する大阪維新の会などはこう訴えてきた。
 日本経済新聞などが6月に大阪市内の有権者を対象に行った電話世論調査では、都構想賛成が49%で反対の35%を上回った。二重行政解消によるコスト削減や意思決定の迅速化を賛成理由に挙げる人が多く、行政効率化への期待は強い。反対派は都構想を否決した場合、府・市の利害調整をどのように行うか説得力のある説明が求められる。
 一方で二重行政解消がどう成長に結びつくかは明確でない。吉村洋文知事(維新代表代行)は9月の住民説明会で「成長」の具体的な内容を聞かれ、観光業や医療などの分野を挙げたが、行政の形が変わることで、なぜこうした分野が伸びるのか詳しい説明はなかった。
 地元経済界から都構想への賛否があまり聞かれないのは、都構想と経済成長の関係がイメージしにくいからではないか。反対派も大阪の成長戦略を具体的に示さなければ有権者の支持は得られない。
 都構想のもう一つの柱である住民サービスの拡充について、賛成派は大阪市が4つの特別区になればきめ細かいサービスができると説く。しかし、待機児童問題や水害への備え、密集市街地対策など地域が抱える課題は多様だ。特別区になれば何をどう解決できるのか、住民目線で語ってほしい。
 大阪市の権限や財源の一部が府に移管されることについて、反対派が「大阪市民が損をする」などと訴える場面も多い。市民のデメリットが何かを伝えるのは当然だが、大阪市は周辺自治体から通勤してくる人や、買い物に訪れる人に支えられている面もある。市が府全域の成長にどう貢献するかという観点も必要だ。
 「ラストチャンス」。維新は15年にこう訴えながら再挑戦の道を選んだ。有権者が首長選などで維新を支持して再挑戦のレールを敷いたともいえるが、結果として大阪の政治はこの10年間、都構想の議論に多くのエネルギーを費やしてきた。
 今回はコロナ禍で街頭活動が難しいこともあり、5年前より熱気に欠けるのは否めない。前回反対だった公明党や一部の自民党府議が賛成に回り、府・市両議会の議論も低調だった。
 最後に決めるのは市民だ。11月1日の投票日まで3週間。どんな結果になっても市民が納得感をもって受け入れられるよう、できる限りの議論を積み重ねたい。
(大阪社会部行政キャップ 佐野敦子)

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