脱炭素めざす320社選定、経産省が国際会合で公表
経済産業省は9日、経団連などと共同で二酸化炭素(CO2)の排出を減らす技術開発に取り組む320社のリストをまとめた。電力各社をはじめトヨタ自動車、日立製作所、三菱電機など幅広い業種から選んだ。国内外の投資家に経済界の脱炭素の取り組みをアピールする狙いがある。
企業リストは、気候変動が企業業績に及ぼす影響の開示を求める国際的な枠組み「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」のサミット会合で梶山弘志経産相が公表した。IT(情報技術)技術を使った効率的な電力システムや再生可能エネルギー、水素技術などの取り組みを評価した。
梶山氏は「革新技術の開発に資金を供給することで社会実装を加速させ、環境と成長の好循環を実現したい」と話した。脱炭素を重視する投資マネーを呼び込みたい考えだ。
TCFDサミットは2019年10月に続いて2回目。菅義偉首相はビデオメッセージで「日本の強みを生かしてCO2を減少に転じさせるイノベーションを生み出し、世界の脱炭素化に貢献していく」と強調した。
今回の会合では民間資金の取り込み方などを議論した。国連の責任投資原則(PRI)最高責任者(CEO)のフィオナ・レイノルズ氏は「新型コロナウイルス禍でも低炭素化は最重要課題。そのためTCFDは最善の枠組みだ」と情報開示の重要性を訴えた。
資生堂の青木淳常務は「長期目標と現状にはどうしてもギャップがあり、短期的に見て格付けすることには懸念もある。投資家には素晴らしいアイデアを見つけ育ててほしい」と応じた。
コロナで打撃を受けた経済を環境投資で立て直す「グリーンリカバリー(緑の復興)」の重要性も確認した。欧州連合(EU)は2050年に域内で排出される温暖化ガスを実質ゼロにする「欧州グリーンディール」を掲げ、コロナからの復興をめざす共同基金でも気候変動対策を重視する。