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アメリカ大統領選挙 なぜ最高裁判所判事が重要?

ビジュアル解説 米大統領選(5)

米大統領選で連邦最高裁判所判事の人事が大きな話題になっています。リベラル派判事として尊敬されたルース・ベイダー・ギンズバーグ氏(87)が死去し、トランプ大統領は後任に保守派で連邦控訴裁判事のエイミー・バレット氏(48)を指名しました。最高裁は人工妊娠中絶、同性婚など社会を二分するような事例に判断を下してきました。選挙結果を左右する判断も含まれます。保守派、リベラル派のどちらが優勢かは最高裁の判断を左右するため国民の関心も高く、終身で務める判事の人選は大統領選にも影響します。

著名リベラル派判事が死去

9月に亡くなったギンズバーグ判事。史上2人目の女性判事で、リベラル派に高い人気があった(2017年9月)=AP

今回、最高裁判事人事が話題になったのは、リベラル派判事として27年間執務したギンズバーグ氏が9月18日に死去したことがきっかけです。1993年に2人目の女性最高裁判事として就任。職場での雇用機会や待遇の平等など女性の権利向上に力を注ぎました。近年は半生をたどったドキュメンタリーや映画が日本でも公開されるなど注目を集めました。

ギンズバーグ判事の死を悼む人たち(9月)=AP

保守派指名でバランスに変化

トランプ大統領(左)が指名した保守派のバレット氏(9月)=AP

ギンズバーグ氏の死去を受けてトランプ氏は保守派のバレット氏を指名しました。バレット氏の就任が決まれば、判事9人のうち6人が保守派となります。最高裁の判断が共和党が進める保守政策に有利に働くことになります。判事に任期がなく、事実上は終身で務めるため、いったん決まった体制が長く続く可能性があります。

指名イベントで集団感染も

バレット氏の承認を急ぐトランプ氏ですが、新たな逆風も吹いています。2日にはトランプ氏の新型コロナウイルス感染が判明し、一時入院しました。9月下旬にホワイトハウスで開いたバレット氏の指名イベントには、感染が明らかになった2人の共和党上院議員が出席するなど多くの感染者がでています。バレット氏も濃厚接触者に該当するとの見方もあります。大半の出席者がマスクを着用せず、社会的距離もとっていなかったことから、集団感染が起きたとの批判もあります。

なぜ、後任指名を強行?

トランプ氏とバイデン氏の名前が書かれた郵便投票の用紙=ロイター

大統領選間際でギンズバーグ氏が死去したため、後任選びは民意を反映した大統領選後にすべきだとの意見も民主党などからあがっています。しかしトランプ氏はバレット氏の指名を強行し、上院に選挙前の承認を求めています。なぜなら最高裁の判断は選挙結果をも左右する可能性があるからです。2000年にはフロリダ州での再集計を求めた民主党のゴア氏に対して、最高裁は迅速な再集計は不可能と判断しました。結果、再集計はされず、共和党のブッシュ氏(子)の当選が決まりました。仮に再集計していたら結果が変わったかもしれません。今回も郵便投票を巡り集計方法などで最高裁の判断を仰ぐ可能性があります。その際に自身に有利な判断を引き出すため、最高裁の保守派勢力を固めたいトランプ氏が後任指名を強行したとみられています。

最高裁、社会を変える判断

米国の連邦最高裁判所=AP

最高裁はこれまで多くの場面で米社会の意識や制度を変えるような判断を下してきました。例えば1954年には公立学校での黒人隔離を違憲と判断し、人種間の平等を求める画期的な判断となりました。73年には人工妊娠中絶を憲法が認める女性の権利として初めて明示しました。近年では2008年に首都ワシントンでの短銃所持禁止を違憲と判断、15年には同性婚を憲法上の権利として認め、各州に容認を求めました。

記事・河内真帆(ニューヨーク) 編集・丸山修一(国際部)、鈴木輝良、樋口慧、高橋丈三郎(写真映像部)、藤沢愛(デザイン部)

米大統領選

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