ノーベル文学賞に米詩人ルイーズ・グリュック氏
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スウェーデン・アカデミーは8日、2020年のノーベル文学賞を米国の詩人、ルイーズ・グリュック氏(77)に授与すると発表した。候補と目されていた日本の村上春樹氏は受賞しなかった。同賞を女性が受賞するのは18年のオルガ・トカルチュク氏(19年発表)に続き通算16人目となる。
同アカデミーは授賞理由について「厳粛な美しさを伴った紛れもなく詩的な声は、個人の存在を普遍的なものにする」と評価した。
グリュック氏は1943年ニューヨーク生まれ。大学中退後の68年に最初の詩集を発表した。「ワイルド・アイリス」(92年、未邦訳)でピュリツァー賞、「忠実で高潔な夜」(14年、同)で全米図書賞を受賞している。
米国の現代詩に詳しい詩人の城戸朱理氏は「同じ米国のトマス・ピンチョンやポール・オースターのように有名な作家ではないので、受賞はとても意外だった。米国内でもさほど知名度は高くない。自己の内面の傷やトラウマをモチーフにした自伝的な内容の作品が多い。この生きづらい時代にあった作風とアカデミー側は評価したのだろう」と話す。
授賞式は12月10日にオンラインで開く。賞金は1000万スウェーデンクローナ(約1億2000万円)。