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ハリス氏「政権初日に増税」 経済政策論争は真っ二つ

【ワシントン=河浪武史】米副大統領候補のペンス(共和)、ハリス(民主)両氏の討論会は、すれ違いが目立った大統領候補同士の論戦と異なり、経済政策を真っ向から戦わせた。ハリス氏は「政権初日に『トランプ減税』を撤廃する」と早期の増税を表明。ペンス氏は「減税と規制緩和で雇用は急回復している」と反論し、政権2期目の追加減税を公約した。

テレビ討論会に臨んだハリス氏(左)とペンス氏=ロイター

11月の大統領選は、新型コロナウイルスによる戦後最悪の景気後退からの脱却が争点だ。ハリス氏は「道路や橋などのインフラ投資に加え、再生エネルギーや先端技術にも資金を投じる」と主張。財源として大企業や高所得層への大型増税を表明した。トランプ政権は連邦法人税率を35%から21%に引き下げたが、ハリス氏はバイデン氏が政権初日にその減税を撤廃すると明言した。

民間調査機関はバイデン氏の増税構想を10年間で3兆~4兆ドル規模と算定する。一方で再生エネルギーや公共インフラへの財政支出は5兆ドル規模に達すると試算され、バイデン氏の構想は増税を上回る巨額歳出で、米景気の押し上げ効果自体は大きいとされる。

ただ、投資家や企業家が想定してきた増税時期はコロナ危機後で、ハリス氏の早期増税案は、産業界に強い警戒感をもたらしそうだ。税制改革は連邦議会の専権事項で「政権初日の増税」は不可能だが、ハリス氏は減税の恩恵が「上位1%の富裕層と巨大企業に偏っている」と指摘。経済格差への不満を早期に解消するリベラル色の強い姿勢をにじませた。

ペンス氏は「新型コロナによって2200万人が失業したが、既に1160万人が職場復帰した。それはトランプ大統領が減税と規制緩和をしてきたからだ」と反論。トランプ政権は2期目に追加減税を打ち出すとも表明して「バイデン氏とハリス氏は逆に増税で経済を葬り去ろうとしている」と強く批判した。

対中政策も論争となった。ハリス氏はトランプ政権の関税政策によって、製造業の雇用が減って農業従事者の破産が増えたとして「中国との貿易戦争に敗北した」と批判した。ただ、ペンス氏は「中国に敗北? バイデン氏は中国と戦うことすらなかったではないか」とすかさず反論。オバマ前政権下での対中政策の失敗を指摘して「バイデン氏は何十年も中国共産党のチアリーダーだった」とあげつらった。

バイデン氏はトランプ政権の関税政策を「時代遅れ」と指摘し、民主党は政策綱領で制裁関税の見直しを掲げている。ペンス氏は「バイデン氏はトランプ政権の制裁関税をすべて撤廃し、中国に経済面で降伏しようとしている」と批判した。米国の貿易赤字は「半分が対中国だ」と述べ、強硬的な対中政策を堅持する姿勢を強調した。

地球温暖化を巡る環境政策も姿勢が大きく分かれた。トランプ政権は排ガス規制などを立て続けに緩和し、シェールガスなどの開発も後押ししてきた。ペンス氏は「気候は変動している。トランプ政権は科学に耳を傾けると明確にしている」と述べた。「米国はシェールガス開発の技術革新で各国よりも二酸化炭素(CO2)の排出量を減らしてきた」と強調した。

ハリス氏は、再生エネルギーへの投資によって雇用を生み出すとともに「2050年までに温暖化ガスの実質排出ゼロを実現する」と公約した。民主党の支持基盤である東海岸や西海岸は環境問題に関心が高い。一方で中西部や南部はトランプ政権が後押しするシェールガスの開発で経済が潤っており、両氏の論争はそのまま支持基盤の主張に直結する。

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