/

GPSストーカー、技術悪用の手口 追いつかぬ法制

(更新)

全地球測位システム(GPS)を悪用したストーカー行為の摘発に向け、警察庁は9日から法改正を視野に入れた議論を始める。車にGPSを取り付けて居場所を特定する行為の違法性を否定した司法判断が契機になった。法と捜査が技術の進展に追いつけるか。焦点は被害者の安全を最優先にした取り締まり環境の構築だ。

「偶然ですね」。関東地方の女性会社員は数年前、スーパーや職場などの外出先で、元交際相手の男性から突然声を掛けられることが増えた。遭遇するのは車での外出時が多い。車を調べると後部バンパーの裏側に磁石と粘着テープで固定されたGPS機器を見つけた。

ストーカー問題に長年取り組むNPO法人「ヒューマニティ」(東京)が女性の相談を受け、男性を問い詰めた。「女性への思いを捨てきれなかった」。元交際相手はGPSを使い居場所を調べていたと明かした。

同法人の小早川明子理事長によると、最近5~6年で同様のストーカー被害の相談が増えた。加害者側にやめるよう求めても「法律違反と言えるのか」と開き直られることもある。強気な反論の背景には、7月の最高裁判決があるとみられる。

恋愛感情などに基づく付きまといや待ち伏せなどを禁じるストーカー規制法は、住居や勤務先など「通常所在する場所」の近くで見張りをする行為を規制対象とするものの、GPSによる所在確認について明確に定めていない。

こうしたなか、最高裁は2件のストーカー規制法違反事件の判決で、GPSを使った見張り行為について、被害者の居場所付近で「動静を観察する行為」を伴うものと判断。離れた場所で位置情報を得るだけでは「見張り」には当たらないと結論づけた。

小早川理事長は「法の隙間を狙ってストーカー行為に及ぶケースが目立つ。テクノロジーの進化に法律が追いついていない」と訴える。

かねて警察は、GPSを取り付けるために車や自転車に近づいたり、GPSで位置情報を得たりするだけでも、同法が禁じた「見張り」に該当するとの立場だった。2014年以降で計59件を摘発したが、司法判断により取り締まり方法の見直しを迫られている。

「あらゆる法令を駆使して被害者の安全確保を図る」(警察庁幹部)。全国の警察は21年度から、被害者の車にGPS機器が取り付けられる状況を特定するため、車載カメラの貸し出し制度を始める。つきまといや住居侵入などの証拠として保全するのが狙いで、警察庁は21年度予算の概算要求に関連経費1500万円を盛り込んだ。

9日からは法律の専門家らを交えた検討会を開き、GPSを悪用したストーカー行為の法規制について法改正も視野に入れた議論を始める。同庁幹部は「様々な立場の専門家の意見を基に適切な取り締まり環境を検討したい」と強調している。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン