コロナで減収、副業を検討しているが…42歳男性の悩み
Dr.マネーお悩み外来 Vol.12

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2020/10/13 2:00
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お金の悩みは千差万別。でも、ご安心ください。解決策は必ずあります。「白鳥FP事務所」はあなたの悩みを解決し、上手にお金と付き合って、より豊かな人生が送れるようにお手伝いします。

Case6: 本日のご相談は、42歳の会社員Fさん(男性)です。コロナ禍で在宅勤務が増えて出社する回数が減ったこともあり、あてにしていた残業代がなくなりました。副業を持つことを考えています。

Fさん 残業代を見込んで、住宅ローンをやや無理して組んでいることもあり、家計に余裕がなくなってしまいました。赤字の月もあります。今後の見通しも明るくないので、夜や休日を利用してフードデリバリーのアルバイトか何かして稼ぐか、あるいは副業を持つか悩んでいます。

白鳥 収入が減って貯蓄を取り崩すこともあり、不安を感じていらっしゃるのですね。一時的な減収ということではなさそうなので、お金の計画を立て直す必要があります。働き方も含め、長期的なライフプランを考えてみましょう。

まず、副業で生じるリスクについて先にお伝えします。

万一、仕事をしている時や通勤中にけがを負ったり、その業務が原因で病気になったりした場合の保障は、どのような契約で働くのかで変わってきます。雇用契約なのか、請負や委任など業務委託契約かです。

業務委託契約の場合、業務上に事故にあっても労災保険からの補償はうけられません(契約の実態が雇用関係に近いとみなされれば労働法規の適用対象になることがある)。

アルバイト先が民間の保険に加入していればそれで補償されることになります。また、労災保険でカバーされない場合は、健康保険の保険給付が受けられます。

「労災保険」とは労働者災害補償保険のことで、業務や通勤によるけが、病気、障害、死亡等に対し、治療費や休業補償など必要な保険給付等が行われものです。働き方が多様化しWワーカーが増えているなどを背景に、9月1日以降、労働者災害補償保険法が改正されました。

業務上の災害で療養のために労働することができなくなった場合、休業4日目から「休業補償給付」が受けられます。

例えばA社で報酬月額30万円、B社で報酬月額15万円で働いていたケースで考えてみましょう。

これまでは、B社で仕事をしている最中に労災事故が起きた場合は、B社から支払われる賃金のみに基づいて給付基礎日額が算出されていました。A社の仕事も休むことになっても、A社の賃金は加味されなかったのです。この場合は、B社の15万円×3カ月÷90日=5000円で、給付基礎日額は5000円でした。

しかし、改正によって「複数業務要因災害に関する保険給付」が追加されました。事業主が同一でないA社、B社ともに労働契約を結ぶ複数事業労働者(これに類するものとして厚生労働省令で定めるものを含む)が、2つの会社の業務を要因とする負傷、疾病、障害、死亡を負った場合、補償されます。

現在は、「長時間業務による脳・心臓疾患」と「心理的負荷による精神疾患」の2つが対象です。

過労死認定基準の労働時間は1カ月100時間以上ですが、例えばA社で70時間、B社で50時間であった場合、単独では100時間に該当しないけれども、合算してみてくれるということです。精神疾患の労災認定も両方の会社の業務上の負荷で総合的に評価されるようになりました。

「複数業務要因災害休業給付」についてみると、

A社 30万円×3カ月÷90日=1万円

B社 15万円×3カ月÷90日=5000円

となり、A社、B社合わせて給付基礎日額は1万5000円です。

さて、よく考えて頂きたいのは次のポイントです。

収入が減っても、支出を抑えることなど工夫次第で心豊かな暮らしを送ることは可能でしょう。家計の見直しをすることで実現できることも多いです。刹那的に「赤字補填のために副業を」と考える前に、長期的な視点でライフプランを考え直して欲しいのです。

Fさんの家計の現状をみてみましょう。

2人の子供はともに大学進学を希望しているので、教育費を600万円ずつ1200万円と想定するので、現在貯蓄額は1200万円から380万円を引いた「-820万円」とします。

これを「人生設計の基本公式」で計算すると、必要貯蓄率は約22%になります。

現在の手取りから計算すると年間約128万円の貯蓄が必要です。長女が大学進学まで7年ですので、貯蓄率を守れば続く次女の教育費も含めてなんとかなりそうです。

現在の貯蓄額は380万円ですので、このまま貯蓄ができないと困ります。「赤字補填のために副業を」というより、貯蓄するために副業を考える必要もあるようです。もちろん支出の削減は必須です。不要な保険の見直し、通信費の削減を優先しましょう。副業先は本業でのキャリアアップなども熟慮し、総合的に検討してください。

今後コロナの影響で、お金の計画を立て直す必要が生じる人も増えてくるかもしれません。目先のことだけを考えずに、ライフプラン、ワークライフバランスを含めて考えましょう。副業などで増えたお金を無計画に使ってしまわないように、まずは必要貯蓄率を明確にすることです。

では、今日の処方箋です。

◇  ◇  ◇

・Wワークで安心して働くために、万が一の補償内容を確かめましょう。

・目先の収支だけではなく、長期的なライフプランを考えてお金の計画を立て直しましょう。

ではまた2週間後に。

岩城みずほ(いわき・みずほ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)。オフィスベネフィット代表。「金融商品を販売することによるコミッションを得ず、中立的な立場でコンサルティングする」をモットーに、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長も務める。著書に『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版社)など。https://www.officebenefit.com/
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