英スマホ金融レボリュート、日本参入 海外送金安く
英デジタル銀行のレボリュートは8日、日本市場で本格的にスマートフォンを使った金融アプリのサービスを開始した。海外送金や外貨両替に強く、既存の金融機関と比べると有利な条件で取引できる。株や貴金属への投資など幅広い金融サービスの提供も視野に入れている。

日本では海外送金や外貨両替、カード決済などのサービスから始める。海外口座向けの送金手数料をメガバンクと比べて低くする。レボリュートの利用者同士なら国境をまたいだ送金でも手数料は無料だ。
決済では、カードをかざして使う「タッチ決済」機能を搭載したVisaデビットカードを発行する。為替取引と決済が一体となったサービスのため、為替レートが有利なときに事前に日本円をドルに替えておき、海外旅行に行ったときにドルで決済するといった使い方が可能だ。
定額やおつりを貯金していく貯金箱機能、設定した予算に近づいたらアラートを出す予算管理機能など、資金管理サービスも提供する。10円から金・銀に投資できる貴金属取引や子ども向けアカウントサービスも展開予定だ。レボリュートの日本法人で日本事業営業統括を務める金海寛氏は記者会見で「金融版のスーパーアプリのナンバーワンを目指す」と述べた。
2015年創業のレボリュートは英国の代表的な「チャレンジャーバンク」(スマホで金融サービスを提供するデジタル銀行)の一つ。推定企業価値が55億ドルに達するユニコーン企業だ。20~30代のミレニアル層に支持され、欧州や米国など世界で1300万人が利用している。
19年から日本でも約1万4千人を対象に試用版を展開し、サービスを改善してきた。準備が整ったため、利用者数の制限をなくして正式に展開を始める。現在は資金移動業の登録済み。将来の株取引サービスなどの展開に向け、第1種金融商品取引業など必要なライセンスの取得や金融機関との連携を目指す。
日本市場では海外送金では英トランスファーワイズ、スーパーアプリではLINEなどが競合となる。国内では決済や個人間送金、株式投資アプリなど個別分野では既に多数のサービスがある。海外送金・決済における手数料の安さのほか、貴金属投資など国内アプリではまだ珍しいユニークな特徴で引き付けられるかが勝負を分けそうだ。
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